梅棹忠夫著『文明の生態史観』

梅棹忠夫著『文明の生態史観』を今更読む。
大学時代に文化人類学の基本だからとひとまず読んだほうがいいと薦められたものの、タイトルがタイトルなだけになんとなくそのままにしていた。
で、実際読んでみると、いやあ、確かに面白い。
ほぼ五十年ほど前に造られた世界史モデルなのだが、それは今もって新鮮。
巨視的なスケールでばっさばっさと世界と歴史を切り裂いていく。
いわゆる西欧中心の単系的発展史観(いわゆる唯物史観)が中心であった時代にこの論文が与えたインパクトは相当であったろうことは充分過ぎるほどわかる。
私は読みながら「では今の中東と西洋の関係とは??東南アジアの位置付けとは??」などと現代の世界の位相とを引き比べて色々と考えてしまったし。
古典的名著ってのはやっぱりパワーが違う。
ちなみに今となってはメジャーな説である西洋と日本の文明の平行進化説ってのもここが出所。
ポイントの「文明の生態史観・序説」は正味30分ほど、精読しても1時間とはかかりません。文章も平易ですので、中高生でも理解できるでしょうし、 (――――多分、中高生の頃の私がこれ読んでいたら感動していたね)機会があったらこの部分だけでもいいですから、是非手に取って読んでみてくださいな。
梅棹史観をさらに押し広げたものに川勝平太著の『文明の海洋史観』というものがあるらしくこちらも面白そう。今度読んでみよう。