昨日は何故か久しぶりにテレビ三昧だったのでそのことをば。


TBS新ドラマ「夫婦。」を偶然見る。

ぱっと画面を見て、これは八木康夫プロデュースで主演田村正和というお馴染みの布陣だろうなと思って調べたらそのとおりであった。「うちの子に限って……」以来やっぱり見てしまうなぁ、この並びは。
それにしてもこの人のプロデュースするドラマは久世光彦の薫陶を感じられる「TBSの良心」最後の牙城という印象がある。
東芝日曜劇場枠は正直いってずっと彼のプロデュース作でいいんじゃないかと私は思っているが、そういうわけにもいかないようである。中山美穂浅野温子は近頃八木ドラマからご無沙汰だが、彼女らもまたみてみたいな、という気分になった。


「あの日にかえりたい〜東京キャンティ物語〜」

60〜80年代の芸能界のひとつ聖地、文化サロンであった飯倉片町のキャンティー。その物語ってことでやっぱりこれは見とくか、というわけでチャンネルを合わせた。
テレビスポットから「FAN」のユーミントリビュートのスペシャルドラマって感じかと思ったがそうではなかった。音楽+ドラマ+インタビューというもりだくさんなつくりなのに話が膨らまないというただの散漫な「業界内輪受けひとりよがりドラマ風音楽風バラエティー」、はっきりいって萎えた。

やっぱり日テレだよなぁ、資生堂全面バックアップながらも致命的に泥臭い。っというか、あまりにもセンスなさ過ぎ。今のテレビマンってダメだなぁ。なんでいいとこの坊ちゃん嬢ちゃんの悪い夜遊びの場を舞台にしながらここまでへぼへぼなのか、まったくもって理解できない。
ドラマ仕立てにする必要もないし、河口恭吾松浦亜弥大黒摩季らが出てくる必然もまったくない。―――特に松浦の歌うユーミンの「ひこうき雲」は最悪。演歌歌手バリにこぶしを奇妙に回して、曲の持つ繊細さをぶちこわし。ユーミン自体が番組に噛んでいるのだから「こんな歌い方、違います」ときちっとダメだしするべきだったのでは。アイドルとしての松浦はわりと擁護派な私だがこれはフォローできない。この子はやっぱどっか歌手じゃないな。感受性のとても大切な部分が磨耗しているような印象がある。

それにしてもこの企画はきちっとした形でNHKかTBSで見たかったなぁ。
あと、思ったのは番組の締めのユーミンの歌は安易に「やさしさの包まれたなら」でなく、キャンティーで出会い、後に親友となった小林麻美への提供曲「飯倉グラフティー」か、イメージソングとなった新曲であるべきだと思うが、どうか。


NHKアーカイブスより  「さらば日劇 〜青春の街角の半世紀〜」

1981年の「サヨナラ日劇フェスティバル」からの映像と日劇50年の歴史を綴ったドキュメント。日テレと違いあと20年30年たっても映像資料足りうるしっかりしたドキュメントである。

わたしが物心がついた頃には有楽町の駅前は「有楽町マリオン」になっていたので実際の日劇を見たことはないが「ここに日劇という日本を代表する舞台があり、その脇の高速道路には昔川が流れていて、そこかかる橋を数寄屋橋といってこの橋が舞台になった「君の名は」というラジオドラマが戦後直後大ヒットした」ということはずいぶん昔から知っていた。多分母から聞いた話だと思う。
日劇という舞台は私が語るには大きすぎるので、ポイントで思ったことを上げると……。
ロカビリー三羽烏のなかで1番骨太で1番不器用で1番歌手として薄倖であった山下敬二郎のその後の姿であるとか、全盛期のはっちゃきっぷりがぽっと抜け落ちてただのおばさんになった晩年の笠置シズ子や冷血な芸風を保ちながらもったりと不気味な晩年のトニー谷を見れたのは収穫だった。
ラストがザ・タイガースのジュリーというのも印象的である。確かに日劇が生んだスターというのは沢田研二が最後であるな、というかんじがある。ちなみにこの映像の沢田はソロ歌手・沢田研二でなく、あくまでもタイガースのジュリーであった。「君だけに愛を」のサビで相変わらず客を指差ししまくり、客は失神寸前黄色い声援をあげていた。この時にもタイガースは復活していたんだ。ジュリー史的にいえばアルバム「G.S I love you」でみずからのGS時代をふりかえる→「さよなら日劇エスタンカーニバル」でザ・タイガース一夜限り復活→十年ロマンス。期間限定でザ・タイガース活動再開、って流れなのかな。
あとついでに後にオウム真理教の広告塔になった鹿島とも子の正業の姿をはじめて見たというのもちょっとした収穫だったかな。