ABSOLUTE SINGLES〜原田真二A面コレクション〜

原田真二「A面コレクション」

松本隆詞の「タイムトラベル」目当てで聞いてみた。この詞はものすごくって、古代エジプトを基点に1920年代のニューヨーク経由で、最後は近未来。地球を捨て去った人類が宇宙空間から地球を見下ろす描写まで辿りついたところでいきなり「ここは東京、君の手のなか」と一気に現実の位置へと聞き手を異化させる。恋人の手のひらがまるで釈迦の手のひらのようにも聞こえるし、拡大していったマインドイメージが一気に収束していく快感もある。そんな天才・松本センセの仕事ぶりを堪能しようと思って聞いたのだが、もちろん初期ヒット曲も当然良かったけれどもそれよりも「雨のハイウェイ」以降のトンでもぶりに吃驚してしまった。
なにこれ。なんだかものすごいところにいってたのね、原真ってば。

「雨のハイウェイ」は和太鼓のようなバスドラがドンドコドンドコいっているし、しかもそこに笙のようなシンセ音まで絡んで妙な「和」のエナジーを放出。「Modern Vision」は打ちこみバシバシのスピィーディーなダンスポップス。これツボだわぁ。小室世代としてこれは否定できないッス。ちょっと今この曲だけリピートしまくっています。そういえば彼、ナベプロ時代の吉川晃司に「キャンドルの瞳」とか楽曲提供していたもんなぁ。ああいう系統をもっとやりたい放題にしたっていえばわかるかな。12inchバージョンとかあって欲しい感じ。琴の音のようなのがおかずでちゃらちゃらいっているのが原真流なのか。「teardrops」とか「寒がりのボイス」(――ポリネシアっぽいイントロの旋律が好きかも)もいい感じ。

いや。意外な収穫でした。今まで原田真二舐めていました。ちょっと認識改めます。カッコイイよ、素直に。ちょっと才気煥発過ぎて、引きがないのがアレかなぁ、と思うけれども。ともあれ「松田聖子のおまけ」という認識は棄てました。ハイ。

しかし「永遠を感じた夜」ってシングルが彼にはあったのね。ちなみに今度の松田聖子の新曲は「永遠さえ感じた夜」。
……いや、なにもいうまい。