「ROSE」 飯島真理

ROSE

ROSE

83年作品。渡米したっきり帰ってこないリン・ミンメイのファーストアルバム。全作詞・作曲は本人の手によるもので、プロデュースは坂本龍一
 しかしミンメイ、可愛い声だな、おい。ロリータボイスとテクノポップの相性が抜群なのは、伊藤つかさや安田成美、宍戸留美などなどで既に証明ずみ。ってわけで、これはもう外しのない磐石な一枚。萌えます。乙女が過剰すぎて「これはやりすぎだろ」と、思わず声を荒げてしまうところも各所に散らばっているけれどもね。

 このミルキーな――アイドル声優声そのものな歌声と、「まりン」とか「おでこにKISS」とか、タイトルだけで、もうなんだかフリフリでブリブリの少女趣味な言語感覚、そこに玄人じみたメロディー、コードのセンス、このアンバランスが飯島真理の魅力。
 それは、いわゆるアイドルと声優とアーティストをごたまぜにしたような中庸路線なわけだけれども、この路線を本人はブレイク早々拒否。事務所とレコ社移籍、さらに渡米、と連打をかけてしまう。
 サーモンピンクの衣装着ながら、教授や吉田美奈子のプロデュースを受ける、それでいいではないか、と。このアルバムを聴くにビクターの敷いた路線はおよそ、正解だったと思うんだけれどもなぁ。彼女の存在は、当時で言うなら、河合奈保子あたりの裏面として、充分機能しうるポテンシャルはあったと思う。
 若い子ってのはいつの時代でも無鉄砲であつかいに難しいものです。