メガネを外して、テーブルの上に置こうとしたのを滑らして、それを拾おうとして、なぜか踏んづけてしまった。ら、フレームが折れた。
 六年間使ったメガネはかくなるように一瞬にして最期のときを迎え、そしてわたしは新しいメガネを買いにメガネ屋にでかけた。

 早速フレームから探したのだが、近頃のフレームは、なんかレンズの部分がちっちゃくって、シャープな印象のものばっかりなのね。なんか、こう、女教師風っていうかさ、マトリクス風というかさ、細身で軽くつりあがっているかんじ。
 てかさ、こういうメガネってさ、「カコイイ」「頭よさそう」って印象とともに、「いじわるそう」ってのもあるから、なんかやなんだよね。「いじがわるそう」「きつそう」って一見思われがちな(――実際そうなのかもしれないけれどもね)性格と、自己分析しているもので、みるからにきつい雰囲気って出したくないのよ。
 もっとさ、目覚ましテレビの軽部アナがかけているような、やぼったくって、だからこそ悪い人に見えない、そんなださデザインのまるメガネはなのかね、この一番安い5000円のフレームで。と、思って探したけれども、ださっぽいやつは値のはるので、秋元康みたいなハンパなメガネで諦めた。

 久しぶりに新しく作るので視力検査もした。裸眼の視力が0.1まで落ちててることを知り、驚いた。
 道理で近頃メガネかけないとなにも見えないはずだよ。高校までメガネなしで過ごしてきたのが、いよいよ遠い昔になってきたなぁ。

 と、まぁ、たまにはほんとうの日記でも書いてみる。




オール バイ マイセルフ

オール バイ マイセルフ

 04年発売。藤井隆のセカンドアルバム。プロデュースは本間昭光島武実。作家陣は上記ふたりの他に、小室哲哉堀込高樹、YOU、Fayray林田健司横山輝一、となかなか豪華布陣。しかし、島武実さんって、まだ作詞なさるんですね。

 先行シングルが「わたしの青い空」あんまりにも傑作すぎたので、期待したけれども、思ったよりもフツー。もっと裏切られるかと思ったらわりと前作「ロミオ道行」の世界観の延長にあって、松本隆のいない「ロミオ道行」という感じ。松本隆のいないぶんだけテンションは低いかも。メロウな大人のポップスしてしまっている。線の細く実直そうな藤井隆のボーカルも相変わらず。「わたしの青い空」でみせたちょっと投げやりで冷たい"歌わない"ボーカルをもっと聞きたかったなぁ。あの声、可能性あると思うんだけれども。

 アルバム曲ではYOUとのボーカルの掛け合いが最高な「赤と黒」がベスト。藤井隆は、松本隆とかYOUとか、精神的につながりのある人と音楽作った方が光ると思う。 "いじられてなんぼ"の芸能系歌手を演じきるには、彼はちょっと図太さが足りない。これからも歌手としてやっていくには、繊細なハンドリングが必要だと思うぞ。



REPEAT&FADE

REPEAT&FADE

 86年リリース。甲斐バンドのラストアルバム。 12インチシングルの四枚組で全16曲という変則スタイルでリリース。それぞれのレコード一枚(各4曲)をメンバー四人それぞれが完全独立でプロデュースしている。甲斐のプロジェクト楽曲に大森や松藤が参加したり、といったメンバー内の交流も、ほとんどない。というわけで、これは甲斐バンドのアルバムというよりも、それぞれのソロの12インチシングル四枚をコンパイルした、という感じ。

 このアルバムの発売二日前に、甲斐バンドの解散が告知されている。このアルバム制作時にはもう解散は決定事項だったのかどうか、というのは定かではないが、こんなアルバムがラストアルバムでは、やはり内部事情を考えてしまうもの。元々甲斐バンドは、作品のほとんどが甲斐よしひろの作詞・作曲・歌唱、という、名実ともに≪甲斐よしひろのバンド≫だっただけに、メンバーそれぞれがほぼ並列に並んでいるこのアルバムはことに異質。

 作品はそれぞれクオリティーは高い。前作「LOVE MINUS ZERO」で得た成果を各メンバーが血肉化していることを感じることもできる。これは、メンバー四人が、それぞれ四つのかけらに分裂することによって、はじめてそれぞれの個性がはっきり表に現れたアルバム、といっていいだろう。しかし、それが解散と同時期というのは、ひとつの皮肉である。これが解散アルバムというのは、承服しかねる。 ≪バンドの総集編≫としてのアルバムが一枚欲しかったな、というのが正直な感想。

 ちなみに――。四枚の中では、大森信和プロデュースによる全篇インストPART1(――共同プロデュースは久石譲)が、ギタリストらしい硬質な詩情があふれ一番いいかな。