手嶌葵 「テルーの唄」

 そういえば、以前話題に上げた手嶌葵の「テルーの唄」、さきほどオリコンのデイリーチャートをチェックしたら、さりげに第4位で、びっくりした。
 ジブリ系の主題歌って、ヒットしなかったものもたくさんあるし、ヒットしたものも「風の谷のナウシカ」とか「もののけ姫」とか、映画公開とともにじんわりチャートがあがってきてロングランヒットに、という形式がほとんどなのに、いきなり初登場で上位ですかい。意外。
 でも、これ、曲自体は、いいよね。すごく。個人的には、ジブリ主題歌では、一番だわ。詞・曲・アレンジ・歌唱、すべてが涙腺を刺激する作品。
 谷山浩子ファンとしては、とくに谷山の美メロが、ぐっとくるよね。淡々としていながら、はっと、胸に迫るものがある、近年の彼女の作風(――「宇宙の子供」とか「僕は鳥じゃない」)の系譜にある、哀しみを俯瞰で見ているようなメロディー。 幼い頃の夢が「作曲家になること」だった谷山浩子だけれども、どういう因果かあまり売れないシンガーソングライターになって30数年、いよいよ「作曲家」として――「シンガー」でも「作詞家」でも「作家」でもなく「作曲家」として、脚光を浴びるのか!? と、期待。
 鬱な時代に真に人の心を癒すのは谷山メロディーに決まっているじゃないですかっっ。みんな「よその子」とか「椅子」とか「沙羅双樹」とか、だまって聴いて、泣けばいんだよ、と、長らくひそかに思っているまこりんなので、そうなってくれるととても嬉しい。ともあれ、来月の「ゲド戦記歌集」も楽しみだな。
 ちなみに新人の手嶌葵の歌唱は、なんとなく加藤登紀子の娘、yaeを思い出した。オーガニックなサウンドにあう、ほどよい湿度と肌目の細かい声の持ち主。この曲にかんしては相当いい線いっているけれども、どういう素質の歌手なのか、ってのは、まだわからないかな。