飛鳥新社 新やおい雑誌「Hug」創刊

Hug (ハグ) 2007年 06月号 [雑誌]

Hug (ハグ) 2007年 06月号 [雑誌]

 あれ、ビブロスやおい系編集ってリブレ出版がまるかかえで引き継いだんでなかったけ ?
 創刊号は、リブレに行かなかった旧ビブロス系の作家を大量投入。飛鳥新社では今後、ビブロスで出版された旧作品の一部の再発売もするそうで、てかもうはじめているらしい。うーん、リブレに行かなかったビブの編集さんがいたのかね ? このあたりのやおい業界の流れわかりません。
 それにしても「大人乙女」というキャッチコピー、どうなん ?
 ってのはいいとして、今、私が一番好きなやおい漫画家、日の出ハイムさん( ガンパレ以降の同人、全部集めたぜっっ、ふははは。 )の新連載がはじまるってのと、オールタイム一番好きなイラストレーターの小林智美様がなんと漫画を書かれるというので、買ったさ。買いましたとも。


◆「エリジウムの物語 ローエン・ペテルギリアン」 小林智美

 ……。えー、これ。セフィ×クラ同人 ? パラレル ? もうっ、あんまりにもまんまやないですかぁっっ。ロン毛のクールビューティー×天然系おこちゃまが智美様のツボだってことはよぅわかった。わかりましたとも。
 智美サマの描く攻め様、謎めいたガタイのいい美女な攻め様もいいけれども、個人的には、一輝とか魏延とかザックスとか、気のいいワイルドあんちゃん系のほうがツボなんて、そっちも出してあげてください。
 あ、ストーリーはなさげ。でもいいの、智美様の絵が見られれば。 "To be continued"ってなっているのに、次号予告にお名前がなかったのが大変気になりました。


◆ 「春の雨に濡れてゆけ」 日の出ハイム

 り、り、り、りーまんやおいじゃないかぁっっ。
 リーマンやおいがなにより苦手なまこなんですが、フツーに萌えた。てかなんでリーマンやおいが苦手だったのか、なんとなくわかった。世間一般のリーマンやおいって、ぜんっっぜんっ、大人で会社でサラリーマンな感じがしないから、なんだよね。
 「やおいなんて、所詮ドリーム。ウソハッピャクでいいじゃないのよ」
 確かに、そうなんだけれどもさ。
 こんなんで会社が回るか、仕事が取れるか、いいかげんにしろ、と。
 仕事しろ、仕事、ここは『ほんにゃら商事』か、と。
 やっぱ、どうしてもいいたくなる。野暮だとわかっていても、そういいたくなる。
 ずっぽり世間の波にもまれて、毎日タイムレコーダーがっちゃんこと押してお金稼いだりしますと、どうしてもそこまで強固なドリームが保てなくなる。なりますともさ。
 やおいは会社とかそういう社会的組織が描けないだよね。本質的に子供の物語だから。なぁんて小生思っていたのでしたが、これ、フツーに会社で、やおいで、萌えた。会社って組織に萌えている女子供の絵空事やおいでなく、フツーに会社で働いている大人の、やおい的春秋の世界だった。
 東大出身、大手商社勤務のエリートサラリーマン、なぁんて設定にすると大抵やおいだと絵空事になるんだけれども、社食での昼食ついでの言伝とか、伝言メモの山とか、有楽町での飲み会とか、残業中にふと物思う些細な私生活のあれこれとか、そんなこんなが、フツーのそこらへんにいる、いかにも日本の誇る小市民的サラリーマン、という感じ。ああ、やっぱ、この人の漫画、好きだわ。
 あと、受けの子( に今後なるんだよね )の早乙女君が名前のとおり乙女で、ってか真田広之くん的で、萌えた。てか真田だろ、これ。言葉にせずグズグズとどうしようもないことを考えているあたり、いい大人の男なのになんか脆くって可愛い感じ、鼻水ぐちゃぐちゃに汚く泣くのが似合いそうなん感じ、まさしく真田です。「花の学蘭ハニー」の浅香鉄平の真田っぷりもすげかったけれども、これもすげーわ。エロシーンまったくなしだけれども、彼の逡巡で充分萌えました。「実家の近くにまた引越しちゃおっかなぁ」とか、おま、どうなん、いい大人が、と。
 それにしても、日の出さん、タイトルのつけ方、上手いよね。「春の雨に濡れてゆけ」、いいタイトル。他にも「あいつはほんとにやなやつなんだぜ。」とか「夕焼グラウンド少年」とか「桜の塔にて待ち入り候」とか、本歌取りタイトルも「春の夜はさくらに明けてしまひけり」の松尾芭蕉とか、もってくるところのセンスがいちいち良くって、って、ほんと、ファントークだな。
 ひとまずこの話はこのままリアルめな感じの、大人になりきれない大人のしがらみたっぷりのほのぼのリリカルやおいって方向で、ひとつ。


 え、あとの作品の感想 ? それは言えねえなぁ。今年のまこのテーマは「褒める」だから。