呆れる
やおいにリアリティーは要らないんでしょうか。
わたしは時々真剣に悩んでしまう。
戦後の日本が舞台なのに、男爵家が出てくるやおい。
昭和19年の陸軍士官学校が舞台で、能天気な学園やおいになっているやおい。
連続してこんなのを読んでしまった。
華族制度って、じゃあ、いつ廃止なんだよっっ。
昭和19年って、もう本土空襲、始まってんじゃねーかっっ。馬鹿。
街外れの妖しい洋館で売り物にされた美少年が調教されちゃうのっっ。犬になっちゃうのっっ。
でもって、調教する男爵様は全身真っ白のアルビノなのっ。
男爵様に仕える市松人形とフランス人形みたいなふたりの美少女はホントは男の子なのっっ。
他にも、仮面をつけた軍人とか、せむし男とか、館にはあやしい人がいっぱいなのっっ。
しかも洋館の裏手には西洋墓地があるのっっ。
で、男爵様と美少女ふたりは鎖につながれた犬(――もち美少年)をつれて真夜中のお散歩するのっ。
キャー――っっ。萌え――っ。
うん。わかるよ。わかる。
萌えツボはつめるだけつめたいよね。
だけどさ。
わたしはこの虚構を真実めいた物語にする、ほんのひとしずくのリアリティーが欲しいんだ。
高校生の女の子がさ「はじめて長編オリジナル書きました ミャハ☆」って友達に見せるんなら、別にいいさ。
若い頃の自分を思うように受け入れよう。
萌えツボつめすぎて、リアリティーゼロのへぼんな作品になっちゃうってのは、初心者のよく陥る失敗だわさ。
けども、なんで単行本10冊以上出している作家が、しかも老舗やおい出版の作品で、これなんだよっっ(泣)。
別にいちいち間違いをあげつらうつもりはないさ。
だけれどもさ、世間一般の常識としている部分で間違えるって――どうなん?
これがゆとり教育というも――いやいやいや、そんなこと、絶対ないぞ。
だって、絶対編集も作家もわたしと同世代かそれより上のはずだもんっっ。
「やおいだからいいじゃないのよ、――どうせ腐女子しか読まないんだし」
せんじつめればそういうことなのかなぁ。
それはある意味、やおいを愚弄しているようにも見える。
作家が馬鹿で、編集も馬鹿で、仲間内にだけみせるつもりで馬鹿面を世間に晒しているというのなら、ひどい見世物としかいいようがない。
今日の結論は簡単。
もう、お願いだから、ちゃんとしろよっっ。
商業でしょうがっっ。同人感覚で本作るなっつーのっっ。
誤字脱字をはじめ、一般的な商業作品ではありえないポカミスがやおい作品には、あまりにも多すぎる。