槁木死灰

 実家からの電話。
 横浜の叔母のガンは体の各所に転移し、手の施しようがないという。
 若い体ゆえに転移が早かったようだ。
 今年まで持つかどうか。本人にはまだ知らせていない。
 母はずっと泣いているという。

 叔母のため、なにかできることはないだろうかとぼんやり思う。
 なにも出来ないことに気づく。
 わたしたちはいずれ死ぬ。
 誰しもが死ぬ。
 おかしいことでも悲しいことでもない、しかし途方にくれてしまう。
 いったいどんな顔をして、叔母に会えばいいというのだろう。
 わたしたちは、いつだって神という名のディーラーの配るカードにおろおろしながらも、与えられた手札でなんとかやっていくしかない。