「どう思われるだろう」「どう見られるだろう」そんな対人不安をわたしはいつも抱えている
――などというと、繊細な人だと思う人もいるだろうが、それはまったく違う。
それは「もっとよく見られたい」「もっとよくあつかわれたい」などといったさもしい欲求が、小心の衣を纏っているということに過ぎないわけで。
つまりわたしは小物なのだ。

その煩雑さを振り切るためにわたしは、忘れる。
承認欲求の強い子供じみた自我を、あるいはわたしに対して様様な評価を下す周囲の視線を、忘れるのだ。
そうやってわたしはどんどん空気の読めない人になる。
だからわたしは、誰ともしれない人に、心を共有していない赤の他人に、なにをいわれても、かまわないのだ。かまいやしないのだ。
――と、そうやって強がっていないと、どんどん自分がつまらない人になってしまう。