Rie 「ミ・ディオス 〜RAILA〜」
Rieとは何者ぞ。畠田理恵です。お兄さん。
モモコクラブ出身のアイドル歌手として87年にデビューしたものの、うまくいかずに女優に転向、NHK朝の連ドラ「京、ふたり」主演でようやく世間の光にあたるようになって心機一転、プロダクションとレコード会社を移籍し再始動、ってわけで別名で出した七枚目の、セルフプロデュースによるシングル。92年7月。
デビュー期はど真ん中直球の中森明菜路線を敷いていた彼女、周囲の大人たちからやらされていただけなのかな? と思っていたらさにあらず、どうやら明菜路線こそが彼女の本懐であったのだな。
こってこてのセクシーエキゾ歌謡な一曲。歌唱もどこで訓練したのか、アイドル時代よりもぐんと表現力をましております。歌番組でも頭に薄紗を被って、煽情的なフラメンコギターに合わせて妖艶にくねくね踊っておりました。
ちなみに作詞はRie本人、作曲はピカソの辻畑鉄也、編曲は萩田光男という布陣。萩田編曲のエキゾ歌謡は「異邦人」以来かな。
ほんわか天然系なのは確かなんだけれども、同じ佐野量子や西村知美と比べて、女の芯の部分に黒いものが仄見えるのが彼女の特徴。そこが明菜的な歌世界に繋がっているんだろうな。
とはいえ、曲全体に漂うアーティフィシャルでなめらかな感じは中森明菜(――明菜はもっと荒々しく血腥い)というよりも、当時のWinkや和久井映見のエキゾ路線。
異国情緒という名の雰囲気コスプレモノ、といえばそれまでだけれども、なかなか。世界できている。善戦しているっ。
とはいえ、たぬき顔のほわっとしたビジュアルとのミスマッチで、アイドル期と同様にこれもまたいまいちブレイクきれず。
せっかく歌、上手くなったのになあ、とは思うけど、まあ、でも、自分の作りたいようにアルバム一枚作れたんだから、それでいいのかな、という感じも……。
その後は、皆さんご存知のように羽生善治との交際を経て結婚、引退。