大根の葉

暦の上では冬になって、大根が美味しい季節になったが、はたして今年も「大根の葉」問題にわたしは立ち向かわなければならない。
大根の葉、あなたは食べます? わたしはもりもり食べるのである。
味噌汁に入れたり、菜飯にしたり、胡麻と一緒に炒ったり、おひたしも美味しい。わたしにとっては、冬場のキング・オブ・葉モノ、そういって過言ではないのだっ、たらのだ。あの、茎のしゃきしゃき感とちょっとほろ苦い味が癖になるんだよね。
だがしかし。昨今のスーパー・八百屋では、大根の葉はあらかじめカットされて販売されるのが実に多いわけで、「買う」となるとなかなか難しい。
なんでも、葉をつけたままにすると大根本体の劣化が早くなるので、早々に根元の数センチだけ残して切ってしまうのだとか。一切カットされずの葉つき大根で売られるのなど、ほんと珍しい。稀有だ。
――となると、これを云うしかないのである。
「あったら、大根の葉いただけますか?」
顔を覚えてもらっているほどの慣れ親しんだ八百屋やスーパーでも、これ、なかなか勇気がいるのだ。
ただもらうだけというのも気が引けるので、もちろん他の買い物などもしっかりしなくてはならないし、店員の手が空いているだろう機会を見計らうのも、気を使う。それになにより、なんだか貧乏ったらしくって、スマートじゃない。
もうね、わたしは云いたい。値段つけたら買うから、売ってよ、店頭に並べてよ、と。
しかしそれがなされないということは、少なくとも関東近辺では既に大根の葉は食べ物という認識ではないのかもなぁ。
哀しい現実と戦いながら、大根の葉問題に立ち向かうのであった。嗚呼。