ゆいこ「地平線上の遠い鐘」
- アーティスト: ゆいこ
- 出版社/メーカー: ダイキ
- 発売日: 2002/11/13
- メディア: CD
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多重録音による、隙のまったくない圧倒的なエレクトロニカ・サウンド。それはとてもゴスでファンタジックで、どこかアニメオリエンテッド。書上奈朋子や志方あきこが好きなら是非モノの世界が広がっております。
いわゆるで宅録で、作詞・作曲・編曲・ミックス全部仕上げちゃう、自分で完パケまで出来ちゃう女性アーティストって、わたしはなんか気がついたら好きになってるだけれども、それは制作スタンスが、漫画の同人作家に近いからなんじゃないかなって、このアルバムを聞いてふと感じた。
自分のやりたいだけやりこみ、作りこんでいて、しかもその作りこみの志向性がどこか女オタク的で、結果、そこに漂う壮麗さとか耽美さが、こう、非常に自分の培っているものと似ていて、だからなんか気がつくと好きになってるんだよな。って思うと、みっしりと精緻なサウンドは、どこかCGを駆使してこりまくった同人のカラー表紙のようで、っていったら失礼か。
いわゆるエンヤっぽいボーカルコラージュ(「オリノコ・フロウ」?)が、わかりやすい「RING」が一番一般性がある作品なんだろうけれども、フラジャイルに伸びるボーカルと機械音のようにドカスカなるドラムの不協和なる協和が妖しい「孤球」、ピコピコグネグネするシンセサウンドに「ああ神様 どうか羽根をつけてください」のリフレインが印象的な「守護天使」、「G線上のアリア」のオマージュか、心の奥底にある原罪意識を掻きたてる悲しみと慈愛に満ちた「地平線上のアリア」あたりが私の好きなライン。