「1946〜1999 売れたものアルバム」

売れたものアルバム1946‐1999

売れたものアルバム1946‐1999

 書籍・シングルレコード/CDの年間売上ベストテンを中心に、その年売れた商品戦後54年分を一気に総まとめ、というデータブック。や、これ、色々と面白いわ。
 書籍のベストセラーの変遷とか見ると、終戦直後は、純文学とかあと哲学・経済学とかのいわゆる「お勉強」の本がガンガンランクインしている。「漱石全集」とか、今更のランクイン、かよ、と。その他、みんなが知っているこの手の作家、太宰とか三島とか谷崎とか、現役で書いててどかどか売れている。純文って、ヒットファクトリーだったんだね、昔は。
 それが高度経済成長期にはいるとビジネス書とかが売れるようになって、オイルショック以降は占いとか予言とかのオカルト本が出てきて、80年代に入るとタレント本やらあやしげな自己啓発書やらテレビゲーム関連本やらヘアヌード写真集やらが出てきて、そして今、と。
 ベストセラーで見ると、裕福になって、本の役割が「お勉強」から「娯楽」へ変化していったのが、戦後の日本ってことなのかな。
 あと、結構、石原慎太郎って時代ごとに切り口を変えて世間に受ける本作りをしてピンポイントでヒットを掻っ攫っているんだなー、結構計算高いなーとか、ひばりちゃんは「哀愁波止場」のあと、60年代前半に西田佐知子やらスパーク三人娘やら弘田三枝子やらのアメリカンポップスのカバー歌手に追いやられる形で一度、軽く落ちてて、そのあと「柔」「悲しい酒」と思いっきり保守的な方向に針を振っていって復活したんだな―とか、色々と気づく所、多いです。
 ちなみに、戦後最大のベストセラー作家は池田大作でした。……。1965年の「人間革命」から1999年の「新人間革命4」まで、実に30作近く年間ベストテン入りしてます。色んな意味で、凄い……。