佐藤史生さん、死去

 最近こういうエントリばかりかいてる気がする。ポスト24年組の少女漫画家。亡くなられたという。
 わたしが印象に一番強く残っているのは「夢見る惑星」と七生子シリーズかな。奇想天外社から出た「金星樹」以来、ほとんどの単行本を今でも持っている。
 24年組の起こした70〜80年代前半の少女漫画ルネサンスの薫陶を最も浴したひとりといってもよく、硬質で、哲学的で、実験的で、あの時代であったからこそ受け入れられた作家だったなと、改めて思う。今、アレを書かせてくれる少女漫画誌ってあるかな、と。
 特に印象的なのがすべての作品に通底する質感で、紙の上に描かれた物語や絵、キャラクターがダイレクトに目と心に飛び込んでくる24年組の作家達と違って、その間に一枚薄い紗がかかっているような、読んでいると「物語」というオブジェをなにか一枚隔てた所から見ているような不思議な距離感のあるのだ。そのニュアンスは、鳥図明児、内田善美らに近しく私は感じた。
 もともとの寡作に輪をかけて、グレープフルーツ(新書館)、プチフラワー(小学館)と掲載誌が廃刊になって、ここ10年近く彼女の新しい作品を見てなかったけれども――そういった意味において漫画家としての彼女は既に役割を終えてしまっていたのかもしれないけれども、やはり残念だ。