萩尾望都 「マージナル」

萩尾望都の作品で完成度とか作品性とかそういう客観的な物差し抜きで個人的に好きな作品―――枕元において何度も読み返しちゃう作品ってなると断然「マージナル」なんだよな、わたしは。

砂漠でエスニックでSFってだけで充分ツボ。あの布を体に巻きつけてズルズル引きずる服と胸元手首足首のジャラジャラの装飾具だけでもうご飯何杯でもすすんじゃうよみたいな。
でもって、どのキャラクターもツボツボツボ、ここは足ツボマッサージ屋かというくらいに、ここぞという患部にぐぐっと迫ってくる。
アシジン、馬鹿で元気でかわいい―。額の三日月の傷カッコイイ――。グリンジャ大人で渋くて素敵――、眦の緑の刺青カッコえー―っ。キラもなんだかよくわからんけれども無邪気でぴょんぴょんしててかわえー――っ。ミカル、こいつ媚びキャラ――っっ。メイヤード、わッ、どう見ても塩澤兼人とキャラやーん。エメラダ綺麗で悲惨でカワイソ―っ。でも一所懸命さがすエドモスもカワイソ――っ。ジューシー、ってなんだこのごっつわかりやすいおかまキャラは。
―――って、もう無駄に萌えまくり。よがりまくり。歓喜の声をあげまくり。もうねこれは事件ですよ。「マージナル」という名の事件ですよ。

というわけで、なあんかどういうわけか好きなのよね。もう理由なんかわからない、というくらいに好き。

個人的に好きなキャラはエドモスとエメラダのふたりかな。なんか古典的な「美女と野獣カップリングって、結構好きなんだよ、俺。「江森三国志」の魏延孔明とかさ。もうなんかぐぐっとくるのよ。攻の気はやさしくて力持ち具合と、受の融通のきかないかたくなさ具合って、なんか弱いんだよなあ。しかもエメラダ、なんも関係ないのに無駄にまきこまれて最期はかわいそうなことになっちゃうし。

作者視点的にきっと面白いだろうなぁと思う人物は、やっぱアシジン。運命という名の棒っきれでちょんちょんといちびってやるに1番面白いのはこういう奴だと思う。勝手に動き回ってひとつの問題を色んなところに飛び火させそうなところが、観察したいキャラNo.1て感じ。このキャラ造型はそのまま「残酷な神」のイアンにのりうつって最大限に発揮されておりまする。