「男性=理知・女性=感情」という意識が強いのか、直観力の鋭い男性や、理論構築がうまい女性にあうとちょっとばかり驚く。
とはいえ、大抵一方が得意だったら一方は不得手というのが普通なので、そういうズレのある人も「脳の構造とセックスがずれてるだけなのね」って理屈で軽くスルーできたりするので、あくまでそれは「ちょっと」くらいの驚きにすぎない。しかし、時々いるのよ。オールマイティー型。どっちもいけるというタイプ。これには手放しで驚いてしまう。

情緒を理論で説明し、理論を情緒化できるタイプ。フルパワーで感情で溺れる一方でそれを冷徹な理知で統御できるタイプ。カチッと秩序で構築されているようで、どこか混沌としていて。じゃあ混沌なのかとそれをよくよく見てみるとそれもまたきちっと理論で構築されたもので。と、まぁ、どっちでもあってどっちでもない。もう、こういうタイプには素直に憧れるしかないじゃないかっっ。とわたしはつい叫んでしまう。
私が好きなクリエイターでいえば、萩尾望都筒井康隆書上奈朋子なんかは、このタイプなんじゃないかなぁ。

わたしは「理屈っぽい部分と、感情的な部分が混交した人間」と自己認識しているのだが(―――相手にどう見えるかはしらんよ)、ただわたしの場合はその両方がとても低い次元で融合しているので、とてもオールマイティー型とはいえそうにない。強いていうならオールナッシング型。つまりただの馬鹿である。
論理的なテキストを読んでは「あったまいい――ッッ」と率直に感心し、直感の鋭いテキストを読んでは「なんでそんな物の見方ができるの」と指をくわえて憧れてしまう。そんなわたしなのである。