どうにもわたしはなにんつけてもアポロン的なものよりもディオニソス的なものが好きのよう。
陽で正しく、秩序的で理知的で論理的で抑制的で、整然とした計算され尽くした美しさも悪くはないんだけれども、なんつーか、わたし的にはどうにも心惹かれないんだよねぇ。あぁ綺麗ね、丁寧ね、素晴らしいね―――以上。という感じで終わってしまう。
一方、陰で怪しく、陶酔的で夢想的で熱情的で破壊的でルナティックで、混沌とした過剰な美しさ――そういうものにどうしても惹かれてしまうんだよねぇ、不思議と。自分にとっていまいち理解できないものであっても、なんとなくいとおしく感じてしまう。
作家にしろ歌手にしろ私の好きなタイプってそんなのばかりだし――ゴテゴテで加減を知らなくってやりすぎていて、ちょっと世間的には困ったちゃんで、という。アノ人とかアノ人とかアノ人とか…………(差し障りがあるので実名は挙げないぞ)。

ディオニソス的な芸術っていうのはこの言葉を生み出したニーチェのいうところの「陶酔の世界に自己忘却し、生存の根底の永遠の一者と一体化しようとする」芸術なんだそうだけれども、確かにわたしがいわゆる表現に求めているものってこういうものかもなぁ、と思い当たる節、あるなぁ。
どろどろのカオスの地獄の釜をぐりぐり弄くってうまれたような――分析しきれない作品ってなんか好きだし。わたしが「歌謡曲」と「J-POP」だとどうしてもどうしても歌謡曲なのも、歌謡曲のほうがよりディオニソス的だからかなぁと思ったりもする。