まるで何事もなかったようにひっそりと最終回を迎えてしまった久米宏の「A」です。最終回の「さ」の字もない最終回。収録後の最終回決定だったのかな。って、うーーーん、まぁ「打ち切り仕方なし」という内容だったんだけれどもね。

バラエティー久米宏の20年ぶりの復帰に私は一応初回をきちんと見届けたけれども、キャストの人選といい、番組テーマといい、どうよ、という。パソコンの前に必然性のよくわからないタレントが並んで、久米宏になんか必死に気を使っている、という。
しかも内容は「なるほどザ・ワールド」や「世界まるごとHOWマッチ」の縮小再生産みたい、という。別に、韓国や中国の人達の日常生活とか、そんな知りたくないしなぁ。韓国とか中国とかお手軽な近場でロケばっかしてて新鮮味がないっつうか、まだ「なるほど」とかのほうが色んな秘境に訪れていて、面白かったような気がする……。その後はなんか、「伊東家の食卓」方向の変な梃入れしたり、もう、なんつーか、打ち切りまっしぐら、という感じでなにもいえず。
この番組、久米宏自身の持ち込みの企画でレギュラーの面子の人選も彼が噛んでいるという話だったけれども本当なのかなぁ。これが、本当だとしたら、久米さんちょっと終わっているよなぁー―と思わざるをえなかった。

久米宏の最大の武器って現場処理能力だと思うんだよなあ。何が起こるかわからない生放送のシズル感を視聴者に届けるのに1番うまいのが、久米宏って司会者だ、と。
スタイルとして「受身」だとおもうんだよね。目の前に次々と現れる展開(それは新しいニュースだったり、ゲストの思わずの発言だったり)に対して、絶妙に付き合いながらどうでもよさげに受け流す。流れにノッテいながらも「この人、結局なにもかもどうでもいいと思っているんじゃなかろか」というシニックな面がチラッと垣間見えるあたりが、非常にテレビそのものという感じで面白い人だ、と。

久米宏のとなりに黒柳徹子横山やすしといった直情的で危なっかしい人を配置していたのも、そういう効果を狙って、と思ったりする。ハイテンションで暴走する徹子にノリつつもを軽くいなす久米宏、という感じで。

それがなぜあらかじめ用意された特に新鮮味のないVTRをスタジオで見つつ、あやややぐっさんなどという自己抑制の強いタレントを周りに配置させ、しかも録画放送、なぁんて番組作るかなぁ。久米宏は、となりにわけわからんことをうっかりいいそうな人を置いて、あとは生放送でてんやわんややってりゃ、バラエティー番組でも情報番組でも歌番組でもなんでもにいいんだからさぁ。っていうか、そういう番組がみたいっす。
ニュースショーなんて20年近くもやったせいで、本人の気づかないところでお文化っぽくなっちゃていたのかなぁ。あぁ、残念残念。