近頃、なぜか中山美穂の91年のアルバム『De eaya』を結構聞いているんだけれども、これって、実は意外と名盤?
結構中山美穂のアルバムって、アイドル時代はユーロビートなりブラコンなり、当時の流行りに対して素直な作りで、まぁ当時はそれがカッコ良かったんだけれども、ゆえに今あらためて聞くと時代だなぁ、という部分も多いように思える。一方92年以降のセルフプロデュース時代はバラードに没入していって、ファンはこういうの好きなんだろうなぁという世界でして、これはこれで、という。

そこでこの『De eaya』なんですが、当時はさほどピンとこなかったものの、改めて今聞くと結構今でも耐えうる音源が多いんでは、と思ったりするのですね、わたし的には。いかにも当時のハウスな「BINGO」とか「COKATOO」などはまぁ、時代だな、という感じだし、それに後半はわりとバラード攻めになっちゃっているんだけれども、ともあれ前半「Paradio」までは凄くいい。特にエスニック方向に強く傾いた「MANA」とか「Crazy moon」とか、全然今でもアリっすよ。「つい最近日本に帰ってきた中山サンの新曲がこれなんだよ」といわれても聴かされたとしても納得するものがあるっつうか、「あ、これからはこういうエキゾでカフェっぽい方向でいくのね」と。こじゃれた店でうすーくかかっていたとしても全然問題なし。15年近く前のトラックは思えないのですよ。

アイドル・歌謡マニアは筒美づくしな『エキゾティック』や角松敏生プロデュースの『Catch the nite』あたりを、生粋のミポリンファンはバラード攻めな『Mid Blue』や『Deep Lip French』あたりを1番のアルバムに推すんじゃないかなと思うけれども、いやぁ、『De eaya』、これも捨てがたい。南国のリゾートって感じで、井上ヨシマササウンドワークが抜群。バラード成分をもっと低めにして、ハウスっぽさを低くするともっとアルバム全体のエバーグリーン度は上がったのかもしれないけれども、時代性とファンの求めているものを考えたら、このあたりが限度だったんだろうな。以前にも以後にもない中山美穂の世界だけれども、これも忘れちゃいけませんよ。やっぱり。