にちゃんねるのことぐだぐた批判的に言うくせに、いちいち話題にするのが陰湿、ってねらーの人にいわれたまこりんです。だってーー、だったら俺のサイトにリンク貼るなよーーー。解析かけて、だーっとにちゃんねるのスレッドから人が流れているのを、俺は内容確認すらしないぜ、ってぶっちぎるほど人間できてないもーーん。

ということで、今回もにちゃんねるの話。うなから「G県厨」というひとつのにちゃんねるの伝説をはじめて聞いた。


同人誌。プロ・アマチュア関係なく、好きな人と好きな作品を制作し、編集し、そして自分たちで売る。それは創作活動の原点にも似た極めて牧歌的な風景ではあるのだが、とはいえその同人誌の即売会に最大で数十万人の参加者が集まるという昨今、同人誌というジャンルが、まだ名もなき少年・少女たちの成功欲求の発露の場として、奇妙に歪んだ部分を持っているというのもまだ事実である。人気や実力、人脈や利害関係、金銭関係などは、プロとアマの線引きがないからこそより複雑怪奇になり、そこに好悪や羨望や嫉妬がからみ、というそういう一面もあるわけだ。

ある同人作家に、名も知らぬひとりのファンからのメールが届く。"一緒に同人誌を出しましょう" その作家は何度も何度も断る。最後には言葉を荒げてまでして断る。しかし相手は意にかけず、ひとりで勝手に話をどんどん進める。そして同人誌の奥付から知ったのか、作者の自宅にまで押しかける。……。ここまでなら、よくある同人界の光景(――って、これだけでも、ずいぶんひどい話)なのだが、その事件を契機に物語はどんどん泥沼へと進んでいく。

とにかくこの物語は凄い。ほとんどサイコスリラー。下手なホラーなんかよりもよっぽど手に汗握る展開。最初は小さな綻びに見えたのが、物語が進むにつれて"G県厨""18歳真性厨""18歳真性厨・父""G県厨・母"と登場人物の狂気の様相が色濃くなり、仮面がはがれるように内に隠された醜悪な本性が奔流となって溢れていく。主人公、"私"がおいつめられていく様は、もうなんというか、これフィクションだとしたら、書き手は結構な才能だな。

脇役もなかなか見事な書き分けで、"G県厨""18歳真性厨"に罪をかぶせられ、物語を更に加速させるきっかけとなった"被害者"、主人公をやさしく見守る"隣のお兄さん"、主人公に理解のある"上司"、最悪の事態に陥るまで、何もわかっていなかった"G県厨、父"、事件を契機に今までの家庭を振り返ってとうとう離婚を決意し、今まで育てていた会社まで実質瓦解させ、蒸発する"18歳真性厨、母"……。いい配置しているよなぁ。途中二回の監禁未遂の山場の後、オーラスでついに"18歳真性厨"が"私"をホームから突き落とし、すわ絶体絶命、そこにヒーロー役の"隣のお兄さん"が現れ、というのは、や、上手いなぁ。しかも伏線がしっかり張られているから、全然不自然でないし。 ――って、完全に創作だと思いこんでいないか、俺。
や、これは、もうフィクションということにしたい。むしろそうさせてくれ。ノンフィクションだとしたら救われません。こんな人間の醜悪な部分を凝縮したような話は筒井康隆の小説とかで充分ですからっ。て、こんな話を「無きにしも非ずだよなあ」っておもわせるところが同人界の怖いところなんですが。

もし、同人界をちょっとでも知っている人で、「G県厨サーガ」を知らない、という人は見ておいて損はないかも。ただし長文、読後はHPかなり削られる可能性は高いので、要注意。

http://sasakama.s13.xrea.com/sos/n18_858.html