テーマ指定バトン『やおい』

 こんばんは、エージェントMJことマコリン・ジャクソンです。あをっっ。

 hisuiさんからまわす人が勝手にテーマを決められるテーマ指定バトンもらっちまった。 しかも俺宛テーマは「やおい」だって。
てかさ、おれ、なにがやおいだ、あれがやおいだ、とか、ずいぶん語ってきたけれども、ふと、思うのよ。そんなにおれって、やおい大好きだったっけ? と。
 なんか自分の感受性に不安を感じる今日この頃。春のせいかしら。


■ PCまたは本棚に入っている『やおい

 PCにはいっているのは、自作やおいしかありませんンっ。
 本棚にはねーー。うーーん。どんくらいだろ。
 しかし、だね、ここでいう『やおい』って言葉の範疇は、ねえ、どれくらいなのよ、と。これはね、微妙な問題ですよ。例えばさ、24年組漫画家のってのは、現やおい界形成において欠かせぬ、まぁ、にちゃんねるでいう「ネ申」なわけだけれども、じゃ、『やおい』という範疇に彼女らの作品を入れていいのか、とかさ。それに個人的に「やおい」だけれども、一般的には「ミステリー」だったり「純文学」だったり「時代小説」だったり「エッセイ」だったり、というのもあるわけで。
 てゆーかですね、わたしはなんでも好きな作品を「これはやおいだ」ほざいてしまう人間なんで、もうなんだったら私の書棚にある作品全部やおいだっといっても、過言では、ってそれはさすがに過言か。
 いわゆるやおいレーベルで出している漫画・小説のみで換算すると、どうよ500冊くらい? もっと?


■ 今妄想している『やおい

 「妄想しているやおい」ってそれって、どういう質問よ。どうしてほしいの。なにを私に期待しているの。なに、つまり私が脱げばいいの? そういうことなのっっ。わかったわ。男はみんな、そうよ、私を勝手に求めて、そしてみんな、通り過ぎていくわ。
 と、いうことで、hisuiさんに「ここの欄、わかりづらいよ。なに書けばいいのさ」と直撃したところ「アーシアンのちはやと影艶のアニパロSSでも書けばぁー――」との答えが返ってきたので、書いてみた。やおいの本質はご飯シーンだ、という話もhisuiさんとしたので、ご飯シーンにしてみました。こんなものならいくらでもできるっっ。が、誰もよろこばないので、やらない。
 長いので、ココね。やおいってなに? SSってなに? って方はここはすみやかにスルーしたほうが吉。


■ 最初に出会った『やおい

 多分、山岸凉子の『日出処の天子』。
 まだやおいというのを知らない時分で、確か藤川桂介の「宇宙皇子」を読んで「今、時代は古代史」だといきりたって古代日本がテーマのラノベや漫画を漁っていた頃に見つけた作品のひとつだったか、と。
 聖徳太子が美少年で、エスパーで、政治を裏で操っていて、しかも蘇我毛人に惚れている、という設定には、あんまり驚かなかった。そういう部分はわりとすんなり受けて入れた、というか、うわっ、男と男の恋だなんってっっ、っていう、やおいにはじめて接したやおらー特有の驚きとよろこびって、一度も感じなかったんだよな。おれ。
 で、初見でのこの作品の感想は、というと率直に「画風、こわっっ」っていう。
 や、『日出処の天子』の頃の山岸先生ってニューウェーブ風味が強かったというか、実験的な画面処理が多かったやん。プラス主人公のうまやんの妙に禍禍しい色っぽさが、なんか怖かったのよ。怖くて、途中で読むのやめました。
 もちろんやおいを知ってからもう一度読み直しましたよ。読み直した感想は、ひとこひとでいえば「なんでこんな凡庸で器の小さい男が山岸凉子は好きなんだろ――」っていう。
 ぶっちゃけ、毛人、つまらない男だろ、と。
 とはいえ、山岸センセは自分の心に眠る「男性社会に安穏としている善良だけれどもつまらない若者萌え」にお気づきになっていないようで、そこが以降の作品のクオリティーにもろに出ているようでして、いいかげん目覚めなさい、といってあげたいですが、もう遅いですね。


■ 特別な思入れのある『やおい

 うーん。フツーに思い入れのあるやおい作品をここで語るというのもあれだなぁ。もう既にサイトでもかなり扱っているし、また扱っていないのも、なんかここで書くというのも、収拾つかなくなりそ。
 とはいえ、正統派的に思い入れのある、お薦めだよと堂々と人に云えるやおいは、漫画では、萩尾望都(――「マージナル」も「海のアリア」も「バルバラ異界」もいいけれども、やっぱり一番を考えると「残酷な神が支配する」かな)。小説では、榊原史保美(――「カインの月」や「龍神沼綺譚」、「荊の冠」もお薦めだけれども、一番はやっぱり「風花の舞」かな)、これにつきるかな。
 栗本薫とか、江森備とか、尾鮭あさみとか、藤たまきとか、ハルノ宵子とか、南川恵とか、そのほかにも名前を挙げるのが恥ずかしい作家さんたちの数々とか、いろいろ好きな方はいるんだけれどもわたしのなかで「別格」なのは、このやっぱりふたり。
 まっとうなやおい作品は、その根幹に「ジェンダー」と「家族」っていう二つの大きなテーマを据えているものが多いけれども、わたしはどうやら「家族」の問題のほうをねちっこく掘り下げる作家が好きみたい。
 てわけで、「ケツ毛ボーボー乙女おっさん受の汁だくエロエロやおい」とか、そういうのは、わたし的にはナシの方向で。

 あ、そういえば、つい最近読んでちょっと驚いたやおいがあったんだけれども、西崎祥さんの昔の同人作品の「真冬の恋人」って作品。
 おしゃべりで底が浅く、不細工で、やたらセックスしたがる恋人にうんざりしかけている主人公の大学生が、外見が派手な、けれどもどこか暢気で気のやさしいバイト先の同僚に心のやすらぎを感じるようになって、という話なんですが、主人公の大学生が男なのはもちろんなんだけれども、驚いたことに不細工で底の浅い恋人が男性で、派手な外見ににあわず天然で可愛らしい同僚が、女性、だったのですね。つまり鬱陶しい男にうんざりして心休まる女に走ろうとする、ってな話なわけで、まったくもってやおいの定番と真逆の展開なんだけれども、これがね、きちんとやおいなんだよ。ほんと、これ、なんなんだろね、と思った。
 おめーら、ホモにしとけばやおいだと思うなよっ。そんな簡単じゃないんだから、やおいってのは。 ――と、認識を新たにしました。


■ 最後にバトンを渡したい人

これってさ「この人にこれが聞きたい」っていう、そういう感じなわけでしょ。でもさ、おれの好きなサイトの管理人さんって、こちらが進めるよかさきに自ら率先して語りまくっちゃう人が多いからさ。ってわけで、ここでおしまい。