ツンデレ由紀夫ちゃん
ネット上をうろついていると、時々ひょんなことに詳しくなってしまう時がある。
三島くんちの由紀夫ちゃんが、その昔、中井英夫や江戸川乱歩、塚本邦雄、堂本正樹らと会員制ゲイ・ミニコミ誌「アドニス」を作っていたこと、そこで変名で切腹愛なゲイ小説「愛の処刑」(『三島由紀夫全集』補巻所収)を上梓していたこと、若き日の堂本正樹と関係をもち、岩風呂のある温泉宿でふたりでコスプレ切腹ごっこをしていたこと(堂本正樹著「回想・回転扉の三島由紀夫」)、その昔ファンのひとり(――もちろん男性)を食っちまったのを、私小説として暴露されこと(福島次郎著「三島由紀夫―剣と寒紅」)、などなど、いろいろな由紀夫ちゃんを今日一日で知ってしまった私なのですが、うわーー、なんかお腹いっぱい。
この他にも「楯の会」周辺とかもネタの宝庫なわけで、由紀夫ちゃん、ネタの総合商社だな。しかもどのネタもさもありなんという、由紀夫ちゃんのキャラ設定にあった伝説の数々。なんかかわいそうで、わからいでもないけれども、あんまり褒められない由紀夫ちゃんです。
それにしても、こんなお高いツンデレ由紀夫ちゃんを強引に奪うちょい悪セクシーガイはいなかったのかね?
由紀夫ちゃんはただ、伊万里すみ子の漫画の男のようなちょっと野蛮でワイルドな男性に強引に求められて、
「あんたなんか最低なんだからね」
と、罵るのを、
「ごちゃごちゃうぜーんだよ。おめぇだってやりたいんだろ?」
と、ハードにがっちゅんがっちゅんされて。で、終わった後に、
「痛かったか?」
と、やさしく抱きしめられて、髪なんか撫でられるのに、
「ううん、そんなことない……」
なんて、胸元に頬寄せてうっとりしたかった。それだけだと思うよ? 由紀夫のなかにいる乙女、わかってやれよ、みんな。
って、まあ、由紀夫ちゃん、ビジュアル的にキモいから無理なんですが。ボディビルで日本刀でおふんどしだし。
しかし、死していろいろ暴かれるというのも、有名人って、ホント大変だよな。由紀夫ちゃん、自裁する前に、やばい原稿とか全部整理すればよかったのにね。
って、まあ、由紀夫ちゃん的には「死んでのちに色々と暴かれて、賛否両論取りざたされる俺」ってのにもうっとりしてそうなんですが。乙女は行動力と妄想力だけは人一倍だからな。ほんと、手におえんわい。