「近頃、明菜成分足りてないなぁ」
 なんて思って、ひさびさに明菜サマの昔の歌番組のビデオを引っ張り出して観賞しようと思った、ら、いつのまにかビデオがものすご劣化を起こしていて、大変なことになっていた。
 と、ここで必死になってDVDに焼きなおしたり(――ま、ここまでいっちゃってると焼きなおしてどうこうという感じでもないのだが)、あるいはネットやらオークションを通じて新たに動画を拾いまくったり、というのがファンの道なんだろうけれども、どうにも、こういうところにやる気がでないんだよなぁ、俺。
 好きなモノでも、「保存用」とか「コレクション」とか、そういう概念が薄いんだよね。捨てちゃう、とか、なくしちゃう、というのはさすがにさほどないけれども、もはや絶対手に入らない稀少盤や絶版本とかも、結構雑に扱っちゃう人間なのだ。 CDには指紋ベタベタ、本には折り目くっきり。まぁ、見事なもの。で、いざダメになると「所詮、形あるものは空ですよ」なんて、センチメンタルに沈思黙考するわけで。
 だから、愛着のないものなんて、ほとんどわたしの手元に残っていない。
 自分の子供時代の写真とか、学校で描いた絵とか、賞状とか、通知表とか、案外とっている人多いけれども、わたしはもう、綺麗さっぱり、どこにもない。年度末になって学校からどっさり渡されるそれらを、わたしは数日も経ずに事務的にざくざく捨てていたのだ。これはわたしの生来の気質なんだろうな。

 ま、とはいえ、「まこりんさんのために明菜様の過去映像のDVD、焼きましたよ」とかいわれたら、喜んでいただきますよ? てか、これはそのための「フリ」やんっっ。(――てのは、嘘よ)