東京エスムジカ 「World Scratch」

World Scratch

World Scratch

 東洋と西洋がぐちゃぐちゃにまざりあった人工的な近代都市、トーキョー。あらゆる歴史や文化から断絶され、だからこそ、世界の文化すべてを集成した源泉になりうるかもしれない、そんな、不思議な街。
 世界各地に散らばる音楽をミックスさせ、もうひとつの、新たな時代の民族音楽を、世界中の人々に響く、「民族主義を超越した民族音楽」を、この民族意識の漂白しきった国は日本、街は東京から発信する。
 「東京エスムジカ」のコンセプトは、ま、こんなものなんじゃないかな。いわゆる80年代的、ポストモダン的なコンセプト、わたし嫌いじゃないです。YMOのファンだし。

 ただ、こういう路線の、民族音楽&クラッシックサンプリング系ポップスって、結果、どれもこれもアニメ音楽っぽくなるのな。アニメ音楽っつっても、深夜にやったり、OVAとかになったりするヤングアダルト向けアニメの主題歌的っつーか。 ZABADAKとか、新居昭乃とか、遊佐未森とか、木屋響子とか、(一部の楽曲の)谷山浩子とか、エキセントリックオペラ(書上奈朋子)とか、ね。
 それだけ日本のアニメってのは、ポストモダンで、ポスト歴史時代的な表現で、世界規模で現代的で普遍性のある、世界に誇る文化なのかな、とおもったりする(――けど、わたしはアニメを見ない)。

 この手のアーティストは、上手くアニメオタク層を取り込めば、結構地味ながらも磐石の活動ができるものなので、東京エスムジカ(――のスタッフ)は早くアニメ仕事をブッキングした方が吉か、と。てか、それを百も承知で、アニメ音楽に力入れているビクター所属なんだよね。そうだよね。

 あ、そうそう、今の東京エスムジカは詞が弱いね。
なんかそれっぽい言葉の羅列という感じで、音源と比べると、ちょっと素人くさい。
 もっとうそ臭いほど壮大で、浪漫あふれるドラマチックな詞が――それこそいにしえの吟遊詩人の歌うサガのような、そういう詞のほうが、いいと思う。今度の詞は、外注だな。うん。