中森明菜「Destination」 その2
さらに中森明菜の最新作「Destination」の話。
明菜ファンには、馴染みの少ない作家陣が並ぶ今作。自分のできる範囲で、それぞれのその経歴をさらっと紹介したい。
シングル「落花流水」をはじめ、「GAME」「紅夜」作曲の林田健司は、歌手として作曲家として、あらためていうまでもなく有名。 SMAP「$10」「君色思い」「KANSHAして」「青いイナズマ」、Kinki Kids 「ビロードの闇」、最新シングル「夏模様」など、ジャニーズ系アイドルでのヒット曲が実に多い。
「花よ踊れ」作曲の羽場仁志は、作曲家として80年代から活動しているベテラン。提供曲は数多く(明菜には、95年に「無垢」を提供している)中山美穂「愛してるっていわない!」、藤谷美和子「愛が生まれた日」などの大ヒット曲も生み出している。最新ヒットは、タッキー&翼「夢物語」かな。
さらに、羽場と同じ事務所ケイ・エス・ピー所属で、「GRACE RAIN」「LOVE GATE」「ONLY YOU」で三曲作詞・作曲担当のRie。 80年代アイドルマニアに方は、河合奈保子のパーソナルバンド「NATURAL」でコーラス担当だった「MILK」の宮島理恵、って言ったほうがわかりやすいかな。姉で相棒の宮島律子とともに90年代に作曲家に転向、M.Rie名義で、ともさかりえ「エスカレーション」(――河合奈保子のヒットシングルと同タイトルなのは、意味があったのだよ)、松田聖子「葡萄姫」、中山美穂「Jara Jara SWITCH」、SMAP「Flapper」などの作曲を担当、結婚を期に(ーーだよね?)Rie名義に変更して、ここで明菜の作詞作曲として登場している。
「Seashore」作曲の平田祥太郎は、SMAPの最新ヒット「Dear WOMAN」の作・編曲を担当をはじめ、 BoA、上戸彩、EXILE、後藤真希などを担当。ちなみに、片瀬那奈の「ミ・アモーレ(Meu amore)」の編曲を担当していたりする。
「夜の華」の田中直は、平井堅「青春デイズ」ほか、伊藤由奈、BoA、ミニモニなどを担当。
「嘘つき」「眠れる森の蝶」の江上浩太郎は、倖田來未「SOMEDAY」をはじめ、安良城紅、SE7EN、美勇伝を担当。
「鼓動」の野井洋児は、BoAの最新シングル「七色の明日〜BRAND NEW BEAT〜」を担当している。
ちなみに以上の四氏は、松原憲(――BoA、Crystal Kay、小柳ゆき、Chemistry、平井堅、SKOOP ON SOMEBODY、ハロープロジェクト系などを担当、ってのは、いわなくてもわかるか)の事務所「SUPALOVE」所属の作家である(――ので、提供アーティストの傾向が似通っている)。
「嘘つき」「眠れる森の蝶」作詞担当の歌手・川江美奈子。中島美嘉「桜色舞うころ」の作詞作曲でも知られる彼女は、「I hope so」からの連続登板。今回のアルバムもハーフトーンミュージックの鈴木順がディクレションを執っているけれども、同事務所所属の彼女も同様に起用となっている。
最近では、sowoluや椿など、作詞家として見る機会が多くなったadyaとURUは02年の「レソナンシア」コンビ。各一曲ずつ作詞と編曲を担当している。
と、いうわけで、このアルバム「Destination」は、世間ではまだ認知度が低いものの、まさしく「旬」な作家陣が一堂に会した(――それぞれの作家の直近の提供歌手を並べただけで、ものすごいものがあるでしょ?)、そんな豪華アルバムといっていいんじゃないかな、とわたしは思う。