クミコ 「愛しかないとき」
- アーティスト: クミコ
- 出版社/メーカー: avex io
- 発売日: 2003/09/25
- メディア: CD
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日本のシャンソンは、おかまっぽい。
実際の女性のそれ以上に、くねくねしなしなして、デコラティブに女性性を主張している。
だから日本のシャンソンは、いまいち、浸透しない。
そんな問答無用に、女の情念でドロドロされても、ねぇ、と、一般の人はひく。
で、クミコ。
この人のいいところは、シャンソンなのに、おかまっぽくない。女性性が過剰でないところにある、と思う。
愛をねっちり歌ってもさほどドロドロしない。ほどほどの情感でおさえている。
クミコの歌う女性は「手におえない」という印象はない。
シャンソン好きの人からしたら、物足りないのだろうけれども、それをトゥーマッチと思っている多くのリスナーには、ちょうどいい匙かげんなんじゃないかな、とわたしは思う。
クミコのシャンソンは「おかぁさんのシャンソン」という雰囲気なのだ。
松本隆、鈴木慶一、筒美京平、あがた森魚、細野晴臣、平井夏美、久世光彦、谷川賢作、かしぶち哲郎、萩田光雄、サンプラザ中野……、と、彼女の作品に男性作家――それも豪華作家陣、が集まる秘密は、そこなんじゃないかな。
彼女の歌声には、男性の求める「母性」がある。
女性から見れば、それはちょっとうそ臭い母性なのだけれども(――母性の裏面は表現されていないからね)、でも、まあ、いいじゃないの。男はみんなそんなもの。わたしだって、子守唄を聴くように癒されます。
このアルバムも「太田裕美のシャンソンバージョン」という感じで、手堅いです。こりゃ、松本隆さん、気に入るはずだわ