仕事中に、唐突に短編小説のプロットがひらめいた。
 冒頭の一説から、しめの言葉まで、パッとでてきた。
 うちに帰ってきて、それをパソコンでまとめる。
 思いついてからまとめるまでのタイムラグで、いろいろと細かいディテールは抜け落ちてしまったんだけれども、ひとまず、覚えている概略でいうとこんなの。

 ――とある時代、とある田舎の、由緒正しい旧家の蔵の中に幽閉されている白痴の美少年。彼は微笑むことと唄うことしか知らない。彼はいつも土蔵の中でわらべうたを唄っている。
 そんな彼を溺愛するひとりの異母兄がいる。彼は、異母弟を強く愛するがゆえに、彼に苛烈な運命を与える世界を、彼を庇護しきれない己を憎んでいる。その村に、ある著名な作曲家が訪れ、彼の歌声を耳にしたところから悲劇の歯車が回りだし――って、ふっるーーっっ。いったいいつの時代の小説JUNEだよ。

 あんまりにも古すぎて没だなとおもいながら、もののついでにキャラクターの名前をひねり出してみる。
 シャレで、白痴の美少年の名を秀人にして、その兄の名前を泰徳にしてみたら、――なななななんか、ツボにはいった。
 秀人の、ぽけっとあいたくちびるに小指で紅をのせる泰徳、とか、長襦袢を一枚はおっただけの白痴の秀人が、満月の夜の、人気のない水のほとりをふらふらと徘徊したりして、それを必死に探し出す泰徳とか、いいかも。もしお望みであれば、ちゃんと書いてみますが、hisui先生。と誘い受けしてみる、の回。あぁ、それにつけても、小説書きたい。