文章を書くのが、つらいなぁ、と思うときがある。
 はっきりいって、わたしの文章は下手だ。
 下手すぎて、いらいらすることが何度もある。
 頭の中にあるイメージを表す語彙が出てこない、なんてことはざらだ。
 流れる水のようにさらさらと言葉が出てくればいいのだけれども、そんなことはまるでなく、推敲を重ねても重ねても、いまいち決まらない。
 まぁ、つらいのならやめればいいのだが、とはいえ、なかなかふんぎりがつかない。
 どうせ書かなければ、ボーっとして時間を浪費する時間が増えるだけだし、自分に与えられた人に褒められる能力なんて、せいぜい文章を書くことくらいしかないし、と、また書き始める。

 言葉を書くというのは、眼に見えない怪物の尻尾をつかむ作業みたいだなと、近頃よく思う。
 書かなければこの世にない、誰にも認知されないものを、えいやっ、とばかりつかんで引っ張り出して、存在を与え、この世にあるものとする。
 もしかしたら、獲物は、とんでもない化け物かもしれないし、雑魚かもしれない。しかし、捕まえたからには大物だろうが小物だろうが、引っぱりあげるしかない。
 また、いくら宙をつかんでも、なにも捕まえられない時もあれば、望んでもいないのに、なんぼでも勝手に向こうから引っかかってきて、疲れきってしまう時もある。そんなあたりは、釣りにも似ている。
 できれば、文章の太公望を気取りたいけれども、そうもいかずに、自分のダメっぷりにあきれながらも続けている。