同時代という形でなにかを括れる人が羨ましい。
 ぼくらの時代にはなにもなかった。
 戦争もビートルズも学園闘争もなかったし、ニューウェーブもバブルも知らない。
 ケータイもにちゃんねるすらなかった。
 ただ、若い頃のぼくたちは、時代の空白を、ひたすらカラオケBOXでつぶしていた。
 未来はいつも鈍い灰色をしていて、それを見まいと刹那を埋めるだけにある今。
 なにもない閉塞状況。
 ただ、うすらぼんやりと絶望しながら、現実を受け流していく。
 ぼくらの世代は語るべき言葉をなにひとつも持たない世代だ。
 まぁ、だからどうだっていうことはなんだけれども、
 ただときどき「ビートルズは世界を変えた」とか少年みたいなことを平気で言う中年を見ると、ちょっといらいらする、それだけだ。
 「お気楽そうでなによりでー―」
 ぼくたちは、imagine all the people なんてしない。
 そんなのは、自分の度量を越えたことだって、知っている。
 ぼくたちは、ゲームの駒。
 そのゲームを誰がたのしんでいるのか、知ったことではないけれども。
 ばっちり目が醒めたつもりで夢を見ている人よりましだと、冷たく目覚め、諦めている。
 早く終わりの日がくればいいとぼんやり思いながらね。