橋本正枝 「貧乏セレブ」
- 作者: 橋本正枝
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2007/07
- メディア: コミック
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財布はいつもからっぽの貧乏漫画家"まっち"=橋本正枝、けれども高校以来の親友のイラストレーター"むっち"=いのまたむつみは全盛期のマイケル・ジャクソンが会いに来たこともあるというけた違いのセレブリティー、彼女と一緒にまっちは850円の財布片手に今日もセレブな一日。
閉館後の上野の博物館で、閉店後のデパートで、アラブの大使館で、オペラ観劇後に、大手ブランドのファッションショーの後に、繰り広げられるパーティーという名の、乱痴気騒ぎ。
金と権威と格式のある、あるいは才能のある、あるいは美貌を湛えた、選ばれた男と女たちのあいだを物珍しげにまっちは回遊する。さらに日本を離れて、そしてロスへ、プロバンスへ、ボローニャへ。どこまで続くラ・ドルチェ・ビータ。
なんというか、バブルだ。
それを得るために何か大きな代価を払ったというわけでもないのに、運とキャラとタイミングで富にご相伴、というのは、これ、 90年代青春組には、かなりいらっとくるものがあるのでは。
バブル青春組って、こういった能天気なポジティビティーを持った人が多いけれども橋本正枝は格別。金はないが、心はどこまでもぼんぼんの貴族。
「パンがないならケーキを食べればいい」
本気でそういえる人ってのは不思議なもので、パンが口に入らなくなる星回りには決してならないのだ。しみじみ。
次々と展開されるむつみと正枝の激友っぷりとか――あんたらソウルツインか ? 小林智美の友人( 山藍紫姫子か? )の招待で小林・いのまた・橋本の3人で打ち上げ花火まであげてもらう豪華温泉旅行、でも夜更けになるとやっぱり三人スケブを囲んでの落書き大会とか、 80年代のJUNEっ子として微笑ましい場面も数々あり。わたしは好きだけれども、嫌われる要素も多分に含んだ1冊かと。