日の出ハイム「針のかたなと御器のふね」
針のかたなと御器のふね (ミリオンコミックス 35 Hertz Series 26)
- 作者: 日の出ハイム
- 出版社/メーカー: 大洋図書
- 発売日: 2007/07/28
- メディア: コミック
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というわけなんだけれども。
うーーん。今までの単行本、すべてまこの太鼓判つきの大オススメ作品、外れまったくなしっっ、だったんだけれども、今回は自信を持ってオススメは、出来ないかも……。
や、萌え指数でいったら、今まででダントツなんですよ。これ、ぶっちゃけ。一寸法師をはじめとするお伽草紙の色んなエピソードを色々色々をミクスチャーして再構成された世界観は、あ、日の出さん、この世界が好きなんだな、としみじみ実感できるし、実際、ぐっとくる萌えシーンもいっぱい。ここがかわうい、あそこが萌える、いちいちあげたらきりがないさっっ。
けど、完成度でいったら、今ままでの中でわりと低めなんだよなぁ。
もっちろん十把ひとからげのその辺にあるやおいよか、全然完成度高いんだけれどもね。
なんでだ。どうしてだ。
考える。
そういえば、日の出さんの今までの作品って同人を含め、ぜんぶ"ふたりの物語"だったんだよね。
個と個が鏡合わせのようにむかいあってて、お互いの対話で物語が進展していく、っていう、まぁ、やおいっていうのは、そもそもそういうものなんだけれども。
で、今回、主人公格を兵九郎ちゃん、捨丸、藤原琴平、源八雲、と四人も用意してしまったので、そのあたりが散漫になっちゃったのかなぁ。
ま、基本、琴平×兵九郎と八雲×捨丸というふたつのCPで、そこに捨丸の出自がらみの大枝山の鬼退治とそこに兵九郎の立身出世が絡み、って感じだったわけだけれども、そのあたり上手く融合できてなかった。
この物語は捨丸編と兵九郎編をいっそふたつにぶったぎって別物の短編or中篇ふたつにするか、あるいは大長編のサザエさん漫画するのが良かったんじゃないかなぁ。この物語に対してなんか尺が中途半端に感じた。
あ、あとこれ、エロシーンがあんまりにも蛇足。やおい雑誌だからノルマなんだろうけれども、なんかホントなくっていいっていうか、省いてもなんも問題なし。つかエロでないところのほうにこそ萌えます、これ。
ま、でも兵九郎ちゃんがかわういから、この漫画はそれだけでいいのかもしれないわけでっっっ。
「春の雨に濡れていけ」の早乙女くんといい、「花の学蘭ハニー」の鉄平といい、つっぱらかってる天然っ子を描かせると、いま日の出さんの右に出る者、いないんじゃなかろうか。
意外と泣き虫だったり、つまんないことでぐだぐだ悩んだりしてたり、そのくせ見え見えの強がりをしたり、でも迂闊に本心をひと言ポロリとこぼしたり、って描写がいちいちリアルで、萌える。
わしも、兵九郎一匹欲しいぃぃっっ、と。頭にお椀被ってる姿がとってもかわういのっっ。と。
あ、そうそう。山の章で野犬の群れを倒す兵九郎ちゃんのお姿。まんま(ゲームの「どろろ」の)百鬼丸でわらた。かわカコイイよぅ。 じたじた。