萩尾望都 「完全犯罪 〜フェアリー〜」
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1988/11
- メディア: コミック
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萩尾望都の「完全犯罪 〜フェアリー〜」ってのはほんと凄い作品でさぁ、この作品にある実験性とか先鋭性とか萩尾望都の愛と熱意とかそんなもろもろがわからない奴は、どんなにそいつが萩尾望都ファンだと公言しても、ぜ〜っっっったいわたしは信じないっっ、って断言しちゃうほどブラボーな傑作なんだけれども、萩尾望都をヒョーロンしちゃうようなお偉い文化人とかサブカルキッズは、まず無視するよねっっ、「完全犯罪」。
きーーっ、こんなに凄いのにぃ。いつか、バリバリ本気全開の「完全犯罪」のレビュー書きたいなぁ。と、思いつつ数年、結局書けていないので、この「完全犯罪」のなにが凄いのか、いま端的に箇条書きすっと――。
・二次元である紙の上で、四次元まで――時間まで表現しようとしている、っていうこと。
・ひとつの物語に対して言葉の流れが多重的・複線的、言葉が層をなしているということ。
これね。
でもって、これってのは、萩尾望都にある程度音楽的素養があるから、なんじゃね、とわたしは思ったりするわけで。
萩尾望都って「完全犯罪」に限らず、タイム感がいいんだよね。
読むという行為もまたイコール時間の流れである、という意識が、あるというか。
作品に心地いいリズムがあって、メロディーのような起伏がある。
甲斐よしひろや松本隆など、音楽畑の人と親しいというのもやんぬるかな、と思ったり。ちなみに萩尾望都は「漫画界の中島みゆき」という触れ込みでシンガーソングライターとして79年にレコードデビュー、2枚のアルバムをリリースした経緯があったりする。
萩尾望都って、たえず先端で実験的で新鮮で若々しいのに不思議と保守的・権威主義的な腰の重いファンが多いんだよね。
つかさ、額に入れて拝み倒すようなアーティストじゃないんだよ、萩尾望都って。ご本人はシェークスピアも立原道造も野田秀樹も好きだけれども、山藍紫姫子のハードやおいだって大好きだし、「ジャンプ」やら「マガジン」やら少年漫画の発売も毎週楽しみにしているそんなスーパースペシャルナチュラル・ミーハーっ子なんだからさ。メジャー・イナー、新旧、保守革新、正反対にあるものでも関係なしになんでも楽しんじゃう子なんだからさ。そこんとこ、ひとつよろしくしていただきたい。是非。