佐藤隆 「アンプラグド・ライブ」

アンプラグド・ライブ

アンプラグド・ライブ

 2000年に唐突にインディーズレーベル「コスモスレコード」からリリースされた佐藤隆・初のライブアルバム。しかも音源は89〜90年のライブからのテイクというのだからさらに謎。
 ――というわけで、つい最近までスルーしていたのだが、これ、いいじゃないか、おい。
 「アンプラグド」なんていうと、どうしてもイメージとしては、フォーキーなサウンドっていうか、アコギの弾き語りメインの、地味なサウンドメイクなんじゃねーの ? と思いがちだけれども、さにあらず。このアルバム、むっちゃ派手。

 「ヨーロピアン」とか「エスニック」という言葉で括られがちな彼の音楽だけれども、ギター・ベース・ピアノ・パーカス・弦カルテットって編成でさらに深く、その民族の血と業に入り込んだという感じ。

 スタジオ録音版よか、全然コアに民族音楽、なのに華やか。まるで幻のカーニバルに迷いこんだような、闇が深く、血が濃い、妖しい1枚。カッコよすぎて眩暈するほど。
 ベストテイクはラストのほうの「デラシネ」(オープニングもバージョン違いの「デラシネ」なのだ、これ)。ベースもパーカスもバイオリンも、んでもって、佐藤隆の歌唱までもが、情念、ほとばしりまくり。なんだこのものすごい気迫は。明菜、負けそうだぞっっ。