中森明菜 「90’s Best」

歌姫伝説~’90s BEST~(初回盤)(DVD付)

歌姫伝説~’90s BEST~(初回盤)(DVD付)

明菜様の「90's Best」感想書きたいんだけれども、色々と忙しいので、ポイントだけを押さえて――。

・うを。この時期にこの形態のベスト盤。レコード会社の事情丸見えの年度末あわせのアルバムっ、と最初ちょっと忌避したけれども、思ったより全然いい。
ワーナーからでた「BEST」シリーズ三種を引き継いだ、正統・直球のベストアルバム、「Best4」ってタイトルでもいいくらい。
・個人的には、明菜のファンとしてその時時を追っていた頃のシングルなので、感銘もひとしお。
・なにより初回特典の「true live」がよいよい。これだけのため買ってもいいぞ。
・いぜん「true live」見たときはそんなに印象強くなかったんだけれどもな、今みるとぜんぜんいい。
・「true live」、異様なまでにミュージシャンが豪華。総合演出が立川直樹で、バンマスがご存知吉田建、さらに江口信夫島健、成田忍、山口とも(――廃品打楽器奏者で近頃有名なあの方)、新居昭乃(――アニメ界の歌姫)などなど。明菜のライブって90年代以降さり気にメンバーにお金かけているけれども、この面子は、どうかしている。しかもオープニング3曲はロカビリーバンドMAGICとのコラボだし。
・明菜の衣装がいつもの明菜的でなく風変わりなのは、演出の立川さんの意向? 森高風のブルーのミニスカ、「GAIA」での、宇宙をデザインしたような銀色のヘンテコな衣装は当時のユーミンが着そう。
・MAGICとのコラボが特によかった。〜「日劇ウェスタンカーニバル」より〜ってキャプションが入っていても信じてしまうくらい、ロカビリーで太陽族な明菜様。「飾りじゃ〜」以来、このラインが最高なのは知っていたけれども、やっぱいいわ。この路線、日本では男ならジュリー、女なら明菜。これを超える人材、いまだあらわれていないのでは。「優しい関係」も歌ってほしかったな。
・明菜にとってのロカビリーは、楽曲提供を受けたストレイキャッツのそれでなく、やっぱり50〜60年代のあの時代の日本の風俗なんだろうな。
・「Tokyo Rose」とそれに続いた「true best」のwild disc 冒頭三曲と、このライブのMAGICとのコラボ、テーマはやはり「昭和回顧」だったんだな。当時はまったくそれを受容する空気が世間になかったのが惜しい。実際当時のわたしも全然ピンとこなかったし。いまなら、大西ユカリとかCKBとか、あのラインだよね、これ。
・明菜にとっての昭和回顧というのは、母の面影を追うことなんじゃないかなと、思った。
・ちょっとしたバイトで、清瀬の小さな飲み屋でマンボズボン穿いてカッコよく歌い踊った母の姿に――なんてカッコいいんだと感動した幼時の明菜。そんなエピソードをこのパートから思い出す。この年、明菜の母は亡くなっている。
・「MAGIC with AKINAです」という明菜の紹介からバンドとしてみて欲しいという意図を汲み取った。一曲だけの限定コラボなのに、基地まわりキャバレーまわりをこなしまくっている50〜60年代のロカビリーバンドのよう。
・男くさいMAGICのメンバーに囲まれて歌う明菜、彼らに呼応するように自分の中にある男性性をフルに引き出して骨っぽくずぶとく歌っている。そこに逆説的な危うい色気がある。はっきりいえばヅカの男役チック。
・そういえば、明菜の母って、タカラヅカ志望だったんだよなぁ。明菜の母を再現するなら、ヅカの男役風になるのも納得、か?
・明菜、一度バンドやって欲しいよなぁ。こういうぎらついた男に囲まれてね。