尾崎亜美 「POINT 2」

POINTS-2

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シンガーソングライターの中には、シンガーとしての部分よりもソングライティングの部分に脚光を浴びるタイプもある。
その女性部門の代表が、尾崎亜美なんじゃないかな。
自身名義の作品での大ヒットはシングル・アルバムともにあまり多くはないが、提供曲でのヒット曲のなんて多いこと。
「POINT 2」はそんな提供曲のセルフカバーアルバム。86年の春発売。
収録曲は、松田聖子の「ボーイの季節」「夏の幻影」をはじめ、河合奈保子「微風のメロディー」、松本伊代「時に愛は」「恋のKNOW-HOW」、岡田有希子「Summer Beach」などアイドルに提供した有名どころがずらりと並んでいる。
海外の新聞風のジャケットにF1レーサー、王女様、田舎の女子高生、割烹着姿のおっかさんと七変化しているのが面白い。
そういう芸の細かい部分が音源でも光っている。
アカペラでの歌唱にこんなにいい曲だったのかと思わず驚く「曇りのち晴れ」にはじまり、全篇英語詞でハードロックで攻めたの「恋のKnow How」、
ひたひたと寄せる波のような美しいアレンジの「夏の幻影」、意外にも甘さの中にシャープさが出ている「微風のメロディー」など、原曲だとちょっと退屈に聞こえるようなものも見事にリアレンジして、実にいい感じなのだ。
これで編曲もすべて尾崎本人の手によるものというのだから、まいってしまう。
んてもって、尾崎さん、アイドルだと松本伊代との相性がいちばんいいのね。あらゆるアーティストの中で一番曲提供をしているだけあって、伊代には直球でも変化球でも、与えてしまう感じ。
80年代のアイドルシーンを語る上でおさえておきたい一枚、かと。