尾崎亜美 「10番目のミュー」

10番目のミュー

10番目のミュー

85年作品。これが亜美流ファンタジー、そんな一枚。
これは大ヒット曲「天使のウインク」をコンセプトの中心に据えたアルバムといっていいかな。
おっちょこちょいで出来損ないの10番目の女神が地球に舞い降り小さな悪戯と愛を世界中に振りまいていく、そんなストーリーが見えてくるよう。
一曲目「小さな神話」は彼女の本来の住まいである天界の歌、続いて「天使のウインク」で静かに下界に舞い降りていって、「Drago Ride」では中国の深山で竜に乗ってひと暴れ、最期はしっぽにふり飛ばされ辿りついたは揚子江の河口近い上海湾、ということで「上海湾物語」、
さらに「あまのじゃくにきをつけて」では天邪鬼と戯れ、「笛の聞こえた夜」では日本の古の物の怪たちの百鬼夜行に参加する。
――と、縦横無尽に駆け巡りなから、最後は「ここが楽園」〜「鐘を鳴らして」で「今いるその場所こそがあなたの楽園なんですよ」と回答を提示。このあたりは実にユーミンの「天国のドア」的。綺麗にまとめております。
可愛くって楽しくってわくわくする一枚。傑作。
ベルカント唱法に和太鼓がぼこぼこいっているびっくり楽曲「Drago Ride」は聞くべき。こんな歌も作るのね、尾崎亜美さん。