テレビが壊れた
テレビが壊れたので、買い換えた。随分と画像と音がよくなった。これは、いい。
というわけで、いつもなら音楽を流すところ、テレビをつけたままで作業しようと思ったのだが、どうも按配がよくない。
なにがよくないって、流れてくる内容がよくない。
素姓のよく知らないタレントが食べ物を口に入れて、いやらしい褒め言葉を並べたり、大げさすぎる表情をするのを眺めてなにが楽しいものか。
美容、健康、グルメ――いつのまにか、テレビは自らをもてあましている頭の悪い主婦が見るものと決め付けたようだ。テレビがスイーツ(笑)化している。
ただで見て不愉快になるほど馬鹿なことはない。つけた電源を再び落とすといった結果となる。
だいたい余暇の過ごし方ならいくらでもあるのだ。
幸いに、ネットという情報収集の手段としてかつてないほど便利なツールがある。なにもテレビの情報源に頼る必要などない。
積極的に人生を楽しもう、学ぼう、というのに、そこに絶対的にテレビが必要なわけない。退屈なら、切り捨てればいい。
そのようにして、テレビを必要としないものから順にゆっくりと画面の前から離れていく。成人男性、子供、仕事を持つ女性、そして賢い主婦も。最後までテレビの前にいてくれた御得意さんが彼女たち、ということなのだろう。
であるがゆえに、報道番組すらもスイーツ(笑)化し、近所のおばさんめいたピンぼけの批判ばかりを垂れ流すようになっていく。
首相がたかだかそこらのホテルのバーで食事を重ねることだとか、カップラーメンの値段を知らないとか、そういうことで最近マスコミが盛り上っている。
ここから導き出される答えは、ひとつ。テレビの視聴者は足元を見られている、ということだ。
そんじょそこらの主婦感覚で、一国の首相が務まるものか。「あなたとは違う」のだ。批判は結構だが、程度が低いのもほどがある。
マスコミのたれ流す「なにも知らない庶民だからこそ、庶民のためになるいい政治ができる」という、根拠のない幻想には(――その裏にあるマスコミの選民思想を含めて)、反吐が出る。
――というわけで、新しいテレビももっぱらゲームとDVDのための活躍に留まっているのである。嗚呼。一日中テレビを見て飽きなかったテレビ大好きッコだったのが、なんでこんなことを書かねばならないのか。