バービーボーイズ「蜂」

蜂-BARBEE BOYS Complete Single Collection-

蜂-BARBEE BOYS Complete Single Collection-

 さりげなく再結成してるので、ひっそり支援ということで、これ。
 バービーボーイズの全シングルのA面B面全てコンパイルした二枚組ベストコレクション。当時のジャケット写真にいまみちともたかの全曲解説付きと、つくりもちゃんとしっかりしてます。07年4月発売。
 80年代末期のバンドブーム勢のなかでは、いまいち再評価の光のあたらない彼らだけれども、それは彼らの作品の特殊性というのも、あるのかな。今の時代改めて聞いてもかなり、個性的なのだ。
 サウンドは、シンプルで、骨太でありながら、サビなしや変拍子やヘンテコなコード進行なんて当たり前だし、KONTAと杏子の、お互いが対峙するような双璧の男女ツインボーカルっていうこのスタイルも、そういえば、彼等以前にも以降もこういうスタイルでメジャーでブレイクしたバンドっているようでいないんだよね。
 イントロをパッと聴いただけで、「あ、これ、バービーだ」ってわかるのだ。サウンドもボーカルも詞も、個性的。
 それってある面では物凄い強みなんだけれども、フォロワーがいない分、時代が過ぎた後になかなか思い出してもらえないのかもな。
 この相克しあうツインボーカルにフィットするように、詞は、男女のエロティックな駆け引きの世界をスリリングに描いていて、なんというか、とてもエロいです。
 正直、KONTAも杏子もフェロモン出過ぎだと思うぞ。ここに関しては、もう、わかりやすいまで夜の匂いがむんむん。この危険で過剰な色香、下手したら、やたらアバンギャルド中森明菜と安全地帯、みたいになりそうでもあるのですが、それもまたいとおかし。
 この辺、徹底して青春の痛みを追求していた当時のバンド系のメインストリームのソニーのロック・バンド系陣営(――プリンセス・プリンセス渡辺美里TMネットワークレベッカ大江千里小比類巻かほる、などなど)とは一線を画していたのかもしれない。
 彼らの表現するのが成熟前の瑞々しさだとしたら、バービーは成熟しきっていて、もう枝から離れる寸前の爛れる直前の果実なのだ。
 あ、あとコイソさんのバカスカいうドラミング、結構好きです――と、モノのついでに言う。