EUROX 「Dig from the past」

Dig from The Past

Dig from The Past

 いやぁ、ジャケットがカッコいいなぁ。ついに第一期メンバーで復活したEUROXのミニアルバム。プロデュースはEUROXとなんと藤倉克巳(!!!!)。エグゼクティブプロデューサーにはこれまたなつかしい小田洋雄の名前も。これどんな、ワーナー・パイオニア
 タイトルにあるようにコンセプトは「過去からの発掘」ってわけで、アニメ「機甲界ガリアン」主題歌の「ガリアン・ワールド」をはじめ、過去の曲をお色直しがメイン。当時リリースのかなわなかったミキハウスCFソング「Come on say Hello」のみが初ソフト化。
 時代の経過とともに音の質感の様々な変化はあるけれども「音の壁」とでもいうべき、圧倒的なサウンドプロダクションはかつてのまま。金属的なデジタルサウンドと、その間隙を縫うように歌うバイオリン。このロマンチシズムがEUROXなんだよなぁ。
 かつての音源はもっとボーカルとバッキングの音像がわかりやすくわかれていたけれども、今作はリバーブも深く、サウンドとボーカルが渾然一体となっていて、中森明菜の「不思議」を髣髴とさせるサウンドメイクになっている(あそこまでボーカルが聞こえないということはないけどね)。
 メンバーのプログレ魂の炸裂した「ガリアン・ワールド」はマストだし、意外やビートリーな「Come on say Hello」もいいし、デジタルサウンドの牢獄という感じで、妖しく冷たい輝きのある「Cold Line」も素敵。美意識が高いよね、このバンドは。

 それにしても、歌詞カードにある再結成に至る経緯が泣けるんだ、これが。TAO時代から解散に至るまでずっとディレクションを執っていた藤倉氏はEUROXを「自分の知る最高のバンド」とその復活と再活動を熱望していたという。
 とかくメンバーの異動の多く、安定した活動のかなわなかったTAO→EUROX。第一期EUROXもアニメ主題歌で名をあげ、海外デビューのチャンスを掴みながら、結局一枚もオリジナルアルバムを残すことなく、わずか一年で空中分解という結果に終わっている。そういった様々なトラブルを味わいながらも、藤倉氏の彼らの音楽に対する信はかわらなかった。
 20年以上の時が経ってメンバー達のわだかまりが全て解け、再活動を決めた時に見せた藤倉氏の笑顔。音楽って愛なんだよな、ホントに。
 当時ワーナー藤倉組の仲間だった中森明菜にも是非聞いてもらいたいな。彼ら、また一緒に音楽してるんだよって。
 さて次はフルアルバムですねっっ。EUROX、藤倉さん、期待してますようっっ。