わたしははみだしてない

はみだしっ子 (第1巻) (白泉社文庫)

はみだしっ子 (第1巻) (白泉社文庫)

 腐抜けたシルバーウィークに活を入れるために名作と名高い「はみだしっ子」(三原順 著)全巻を読み通す。友人に「まこは絶対気に入るはず!!」と太鼓判つきで薦められたのだ。
 そして読了。結果、どよーんとした気持ちになる。
 なんだろうな、この感じ。こうね、うっかりメンヘラさんのブログをじっくり読んじゃった後みたいな、どろんとした深い沼に足を取られてしまいそうな、そんな危うい感じ。「残酷な神が支配する」に女性カウンセラーのペネローペさんっているでしょ、ジェルミの救われなさ過ぎる告白を聞いて、気持ち悪くなっちゃう、「もう逃げ出したい」って、つい思っちゃう、あの人。あの感情に一番近かった。
 やばい、このままぼうっとしていると一緒に泥沼に引きずられていく、みたいな。このままだと私も一緒にゾンビになっちゃう、みたいな。
「違う、それは間違った考え方だ」と理性で何度抗っても、自分の中に潜むチャイルディッシュな感情が、どこかこの作品を受けて入れようとしてしまって、とにかく始末が悪い。気持ちをもってかれそうになる。悪霊退散!!と思わず十字架突きつけたい。そんなダークサイドに私は落ちないぞっっ。
 そんなわけで私にとって「はみだしっ子」は「中二病をこじらせてメンヘルになった人が物凄いスピードでこちらに近づいてくるような作品」でした。――ってどんな評価だ。
 色々と語ることはできるけど、なんか沼に引きずり込まれそうで恐いのでしない。ただひとつ、この話には作者がわざと見ないふりしていることが多いと思った。「そんなことない」とファンの人は云うのかもしれないけれどもね。とにかく私はこの話の世界が好きじゃないっ。本当の現実に蓋していると思うねっ。
 だいたい、定期的に銀行からお金振り込まれてて家出少年気取るって、そりゃねーだろ、おい。どんだけ甘やかされているんだよ。それで大人は汚いってよく言えたもんだな。俺だって金があるならほいほい家出するわさ。
 ――と、こんな作品を絶対好きなはずと薦められるってことはわたしは中二病で屁理屈屋でメンヘル気質で子供っぽい奴ってことなんだろーな。……はい、そこ当たっているって云わないっ。