MAX「TACATA’」

Tacata'

Tacata'

 13年8月発売。MAXの久々のシングル。発売前から藤井隆ツイッターで異様に押していたので、youtubeで公式PV見たら、お茶吹いた。酷い。安い。あー、藤井隆がというかマシュー南がどや顔でくねくね踊りまくるのが見えるわ。
 とかなんとか思いながら、気がついたら、10回くらいリピートしてしまったという。酷すぎて癖になる味わい。曲そのものがナニコレ珍百景というか。なんだよ、カバーなのに「♪自分たちのオリージナリティー」って。てか、一人いないのに高らかに「MAX is back」て堂々宣言していいのか。などなど、ツッコミどころが多くて疲れる。
 でもさ、ふと思ったけれども、ライジング系アイドルって、そもそもこんなもんなんだよね。
 伝説の少女のはずが代表作は「ナースのお仕事」な観月ありさしかり、ポストゴクミだったのに気がつけばVシネ女優な坂上香織しかり、ゴナムーブなスピードしかり、事務所や本人たちの思惑とは裏腹に常にかぐわしい安っぽさが漂っている。
 創業の荻野目洋子からして、安っぽいユーロ歌謡こそど真ん中で、本格派目指して海外レコーディングしたり、陽水やASKAやクボジャーに曲もらったりすると、常にダダすべりしてたしね。
 安室奈美恵ただひとりが、お高くラグジュアリーな本格派としての地位をそうそう固めて、いまだ高止まり状態だけれども、結局これってのも、片割れであるスーパーモンキーズ=MAXに安っぽさを引き受けさせることによって可能だったのかなと思ったり。
 つまり安室奈美恵というロケットがライジング惑星のもつ強力な「お安い」引力圏から抜け出すために切り離さなければならないロケットエンジン、それがMAXだったのでは、と。逆を言えば、MAXにはライジング系の安っぽさが凝縮されている。ある意味ザ・王道オブ・ライジング。
 デビューの「恋するベルファーレダンス」から「TORA TORA TORA」「Give me a shake」「Ride on time」と連なっていく、ぺらっぺらでしょーもない駄菓子のようなヒットシングル群たちのなかにこの「TACATA'」はある。
 わかっててふざけている小泉今日子と好対照の、本気か冗談なのかまったく不明のMAXの全力投球。面白いです。
 歌謡曲なんてこんなもんでいいんだよ。そんな言葉が聞こえてくる。