近所の中古CDショップに大量にレンタルアップの商品が50〜200円で売られていた。これはもうわたしの出番でしょう。買いまくる。というわけで久しぶりに、聞き流しレビューしてみようかな。 

◆ 土屋昌巳 「Life in Mirrors」

ミックカーン、デビットシルビアン、吉田美奈子ら参加。86年発売。ちょうど「夕ニャン」の司会していた頃かな。ニューがウェーブしています。無意味にかっちょいいぜっっ。思わせぶりな雰囲気だけで、中身があんまりなさそうなところは、ニューウェーブというよりも後のビジュアル系に通じる感じ。パクリ臭いサウンドメイクとか、やけにお耽美な詞とか、ホントそんな感じ。根がミーハーなんだよね。良くも悪くも。ラルクとかバクチク聞いている錯覚に陥りましたよ、ええ。むしろ、ニューウェーブとビジュアル系を繋ぐミッシングリングが土屋昌巳という人材なのか ? そうなのか ?

◆ 坂本真綾 「イージーリスニング

01年作品。アニオタ界の浜あゆ、坂本真綾のミニアルバム。いまさら菅野よう子坂本真綾コンビにすっ転ぶのは負けのような気がする、と避けていたけれども、やばい、フツーにいいわ。彼女、歌、うまくなったよね。「約束はいらない」の頃と比べると、ちゃんと歌手の声になっている。ちなみにこのアルバムの声、原田知世にとってもよく似ている。知世ファンのそこのあなた、聞いてみる価値ありです。

◆ 岩男潤子 「18番街の奇跡」

95年発売のクリスマス企画アルバム。プロデュースは斉藤ネコ。「サンタが街にやってくる」「きよしこの夜」「White Christmas」などのスタンダードなクリスマスソングの合間に岩男のナレーションが……って、もう、なんか眠い。お綺麗すぎて退屈。どうせわたしの心は汚れてますってばさっっ。

◆ 戸川京子 「涙。」

 88年発売の林哲司プロデュースによるフレンチ歌謡アルバム ? 意外な掘り出し物っっ。不思議ちゃんじゃない早瀬優香子って感じ。音からほんのりとアイドル臭が漂っているのが、これまた凄く好みだぞ、こういうアルバム。「動物園の鰐」に萌え。姉貴に負けず妹もいい仕事していたんだなあ。ご冥福をお祈りします。

◆ 田中美奈子 「君の瞳に優しく」

杉本彩森高千里とともにバブル期の日本で美脚を競った美奈子ねぇさんの90年リリースのファースト。うすっぺら。まさしく「バブルへGO」という感じ。"瞳に一億円の保険"って触れこみが、もう、バブルとしかいいようがねぇわな。二度とバブルには戻りたくありません、わたしは。

◆ 田中美奈子 「Gimmmick」

「つきぬける」ってコピーがすげぇな。90年発売の二枚目はクラブサウンドでさらにアゲアゲ。プロデュースは 月光恵亮、井上龍仁、須貝幸生神長弘一って、荻野目洋子の「流行歌手」と姉妹のような作品ですなこれは。他作家は、屋敷豪太小室哲哉岡野ハジメJoey Carboneなど、とにかく豪華。しかし、どうなんだろ、この美奈子の声。作りすぎちゃうん ? 少年の声のよう、変にぶっきらぼうです。ビジュアルのわりに、この声はサウンドにあんまりあってない感じ。

◆ 田中美奈子 「TWO HEART」

というわけで、これは四枚目。92年リリース。バブルも崩壊したしと、アゲアゲでない自然体のお姿を今回は披露。自分で作詞作曲したり、声も自然な魅力が出ている。これが一番地に近いんじゃないかな。「ひと夏の経験」「青い果実」「恋のバカンス」などのカバーも、さほどの違和感がない。この人の敗因は、芸能界内でのキャラ立ちの割りにエロでも派手でもなかったところなんじゃないかな。地味で真面目な人だったんだな、そのあたり杉本ねぇさんとは違うわけなんだな、と、このアルバムを聞いて感じた。

◆ 中崎英也 「Shadow Play」

これまた掘り出し物だ。本人名義では四枚目、かな、の94年のアルバム。ジャケットが、池田聡の「至上の愛」みたいだな、思いつつかけてみたら、まさしくそんな感じ。おされでメロウな和製ソウルアルバム。やっぱりメロディーメイカーだなぁ、中崎さん。奇を衒ったところはなにひとつないけれども、退屈ということはまったくなく、安心して聞けます。歌手としてももっと光があたってもいいのにっっ。

◆ 浅野ゆう子 「リュミエール

91年発売。なんだこれ。ぜんぜん歌ってないじゃんッッ。おフランスエスプリの効いたおされミュージックにゆう子の激しくどうでもいいナレーションかがぶりっていう、なんなんこれは。歌は一曲のみ。パリをうろうろして撮った豪華写真集とか、そういうおまけ、いいから、とにかく歌え、と。「サマーチャンピオン」とか「ムーンライトタクシー」のアダルツ・アンド・セクスィーなゆう子を期待したのにぃ。ファッション雑誌でできるコンセプトはファッション雑誌でやれっっ。バブルの負の遺産のような一枚。思わず投げたくなる。

◆ 大野愛果 「Secret Garden」

倉木麻衣愛内里菜に提供した楽曲を英語詞でセルフカバー、という二枚目。02年リリース。ものすご、匿名性。 BGMとして部屋で音量を低めで流すためにある音楽という感じ。まったくもって主張しない、何者をも邪魔しない、しかし間は埋めてくれる、そんな高品質サウンド。大野の歌唱は、オリジナルアーティストよりさらに低血圧というか、低テンションというか。より意識が漂白されている感じ。もうね、なんのために歌っているとか、なんのための音楽とか、そういうこと問い自体が愚問なんだな、と。ビーイングの底知れなさに身震いすら感じる。この「ファンになんなくても別にかまわないですよ」ってスタンス、結構好きです。

◆ Kiss Destination 「GRAVITY」

存在自体が小室哲哉の闇歴史といって過言でないKiss Destinationの99年発売のファースト。当時は「哲にぃさん、やっちまった」と思っていた小生ですが、今改めて聞いてみると、そこまで変でもない ? あーらんびーが汎用化された今となっては、さほどとんでもアルバムでもない。結構ちゃんと作っている。哲哉の本気をわたしは感じたよ、確かに。ま、ミリオンセールス狙えるプロダクトだとは到底思えないけれどもね。

◆ 立花ハジメ 「ロウ・パワー」

97年発売。ウーリッツアっていうエレピでの演奏によるミニアルバム。ごめん。このアルバムと自分との接点が見つけられなかったよ。ただ聞いていると鬱になります。閉鎖病棟の春の中庭を逍遥しているような感じ。

◆ 高橋理奈 「裸の水」

97年リリース。85年にアイドルとしてデビュー以来、しぶとく歌手活動を続けてやっとこの二枚目は売野雅勇プロデュース。ってわけで、しゃらくさいお耽美ワールド全開。素敵です。「食物連鎖」の頃の中谷美紀が好きというなら一聴するのも、いいかも。「NEOfilia」「桜の果て」「孤独の部品」あたりは、ホント中谷美紀って、感じ。サウンドは生音重視、Face 2 fAKEをメインに千住明、たま、石川鉄男など。結構いい線いってるけれど、「時代を超えたフィメールヴォーカルの最高傑作」って帯コピーは、はっきりいって自らハードルあげすぎだろ、と。

◆ 矢野顕子 「On the air

92年発売。80〜89年の間にCMで使われた矢野顕子の楽曲をまとめたコンピレーション。初CD曲が2曲。この時期のMIDIって、epoとか大貫妙子でも、こういう感じのベスト作っていたよね。矢野アッコは坂本教授とのコンビの時代が一番好きだな、と再確認。あ、パンパースの「赤ちゃんのおしり」はなつかしかったっす。

◆ 大島ミチル 「クリスタニア イメージアルバム」

96年リリース。探していたものがこんなところで見つかると思わなかったっ。 90年代中期にメディアワークスがメディアミックス展開した水野良原作の「レジェンド・オブ・クリスタニア」のイメージアルバム。このアルバム以前に「クリスタニア」関連のサントラを既に3枚作っているので、これはその総集編、というところかな。今まで取り扱ったモチーフをいろいろ取り上げバリエーションで魅せつつ、新しいサウンドを織り交ぜつつ、という感じ。「メカゴジラ」に「ごくせん」に「ショムニ」に「リュウケンドー」に「釣りバカ日誌」に「極妻」と、なんでもありというかんじで片っ端から劇伴のお仕事なさっている大島さんですが、こういう無国籍サウンドの彼女がわたしは一番好きです。「大英博物館」とか「風の大陸」とかのね。

◆ 梁邦彦 「愛さずにいられない サウンドトラック」

91年の日本テレビドラマ「愛さずにいられない」のサントラ。梁邦彦のインスト仕事としては、初期にあたる作品といっていいかな。あいかわらず、初夏の爽やかなそよ風のようなポジティビテイ―あふれるプロダクトです。


もちっと買ったけれども、いいかげん長いので、ま、こんな感じ。思ったよか、あたりが多かったなぁ。お得なお買い物でした。