榊原史保美

ふと「榊原史保美の全作レビューをしよう」と思い立ち、書棚をひっくり返していたのだけれども、なんというか、どれがどの話とか、なんかもう混ざりまくっていて、ひっじょーーーーっにいきづまっています。

彼女の作品を熱心に読んでいたのって、もう10年以上も前の話だし、しかも、当時、彼女の作品を一気に読んでしまったからね。作品の印象がまざりまくってしまって。
高校生の頃のわたしは、彼女の作品の熱心な読者で、それぞれの作品、ひとつひとつをしっかり覚えていたし、そこにあるテーマとか、作者の意図や思想性、以前の作品と以後の作品の相違、作品の系譜といったものも明確に見えていたのだけれども、今のわたしには、あぁ、もうすべて霧の向こう。なにもかもがうすらぼんやりとしか見えない。
かといって再読するには、結構な分量があってなかなかそこに踏み切れなくって。あの頃のわたしなら、きっとすばらしい榊原史保美論が書けたろうになぁ……。

榊原史保美の作品の周辺であんなにいろいろなことをぐるぐる考えていたのに、今は「それを考えていた」ということしか覚えていない。書いときゃよかったなぁ。あの頃のわたしは、あらゆる物事に対してインプットすることだけで満足していて、それを再構築してアウトプットしよう、ということにまったく熱心でなかったからなぁ。あぁ、もったいない。

ただ、榊原史保美が「かつていたやおい作家のひとり」としてこのまま周囲から忘れ去られるのは、ひっじょーーーっに耐えがたい。耐えがたいんだよねーーー。や、実はすごい作家でしたよ、と。魂にひびく作品を多く残したすぐれた作家でしたよ。「やおい」というレッテルだけで、彼女の作品を読まないのは、もったいないですよ。そういいたいんだけれども、いかんともしがたい。