麗美 「ゴールデン☆ベスト」

麗美ゴールデン☆ベスト-REIMY BRAND COMPLETE-

麗美ゴールデン☆ベスト-REIMY BRAND COMPLETE-

松任谷由実・正隆夫妻プロデュースによる麗美のコロンビア時代のアルバム「REIMY」「R」「PANSY」三枚からセレクションしたベストアルバム。
収録楽曲のすべてがユーミンの提供楽曲。時期は84年頭から85年末。ユーミンのアルバムで云えば「ボイジャー」「ノーサイド」「DA・DI・DA」の頃ね。
マージャンで言う「来ると思った牌がぴたりとやってくる」状態が80年代中頃のユーミン。LPの売上は出すごとに右肩上がりで成長するし、「ビジュアライブ」と標榜した自身のコンサートも開催するたびに話題となったし、「パールピアス」以来のいわゆるF1層ターゲット戦略もどんはまり、松田聖子薬師丸ひろ子原田知世と言ったアイドル勢に楽曲提供を行い、それぞれが大ヒットもした。
とかく派手派手しい活動であったけれども、それらは決して虚ろには映らなかった。それを支えるに充分なクオリティーを持つ作品を彼女は次々とドロップしていたのだから。
とにかくこの時期のユーミンは、濃いのだ。
売上はもう少しあとのバブル期に爆発的に飛躍するけれども、作品クオリティーや勢いを総合的に見ると、ここが彼女の黄金時代だったんだろうな。
そんなユーミン黄金時代を象徴した麗美のベスト盤。才気ばしっております。本気汁でまくりで、がっちりかっちり作りこんでおります。
ノーサイド」「残暑」「霧雨で見えない」など、実際セルフカバーした楽曲もてんこもりだぞ。
ただまあここまでユーミン謹製になってしまうと、麗美がこれらの歌を歌う意義というのがよくわからないというのもあったりして、まぁ、この時期こそセールス的には成功したものの後には低迷してしまう麗美を思うとほんの少し可愛そうな感じもする。とはいえ、名曲だらけであることは確実。
全盛期のユーミンのソングライティングが好きな方で、麗美の「外人が無理して日本語歌ってます」的な舌ッ足らず唱法が気にならなければ、是非。
とにかく「星のクライマー」と「Time Traveler」が名曲過ぎる。「Time〜」は「reincarnation」系のSF+恋愛テーマのアッパーチューンで盛り上がること必至。「星の〜」は植村直巳をテーマにした壮大な、これは祈り歌だね、「ボイジャー」の系譜。後にユーミンがセルフカバーしたけれども、絶対アレンジはこちらの方が正解でしょ。