売上の低迷する中森明菜についてちょっと考えてみた

 久しぶりにくだらないことを考えてみようかなーと、思う。春だしね。
 去年、中森明菜は三枚のアルバムを連続でリリースしたけれども、セールス的には惨敗を喫したのは、記憶に新しいことだと思う。
 どうしてか。
 おそらく前作「フォークソング」を売り出しすぎてしまったことが一番原因なんだろうと、わたしは思っている。
 多分レコードショップに足しげく通っている明菜ファンの人なら、気づいていることだと思うけれども、あれは、どこもかしこでも余っていた。
 多分、メーカー的には、四種+通常盤の一種を売り出すことによって、店舗での販売スペースをムリクリにでも広げようというそういう販売手段だったんだと思うのだよね。「店舗での販売スペースと売上は正比例する」っていうマーケテイングのお約束もあるわけで、中森明菜のカバーアルバムだからそれくらい売れるだろう、と、そういう皮算用がメーカーにも小売にもあったんだろうと思う。各店舗各一種計五枚が基本入荷数になるけれども、今までの実績から見てなんとかなるだろうと。新聞紙の「押し紙」ほどではないけれども、小売は今後の付き合いも考慮してメーカーの一押しアルバムの「これだけ置いて欲しい」と言った数をできるだけ考慮して入荷数を決めているらしいしね。
 とはいえこれは皮算用で見事終わったわけで。ジャケットが色違いになっているだけの四種の初回限定盤っていうのは、ファン的にはどう考えても意味の薄い四種類なわけで、五パターン全て買ったというファンは、少ないんじゃないかなぁ。かてて加えて、作品的にも明菜世代には縁遠い70年代フォークのカバーで現役ファン以外に訴求が難しく、実際の作品のクオリティーもアレなわけで――で、あまった、と(――どういうリサーチの結果「明菜でフォークカバー」という企画に突っ込んでいったか、いまだにわたしはわからない)。
 不良在庫をたたき出したアーティストの次作品の入荷は極力に抑える――これはレコードショップの絶対的セオリーなわけで(――つまり、できるかぎり多く仕入れて欲しいメーカーと損をしないぎりぎりの数を仕入れたい小売の綱の引き合いで入荷数ってのは決まっているわけですね)、結果カバーアルバムの神通力も通じず、まったくカラーの違うアルバム三枚にもかかわらずともにオリコンデータではほぼ同数の7000〜6000枚の売上にとどまった、と。これ、一昨年に明らかにメーカーとの契約の数合わせ的にだされた「90's Best」とほぼ同じ数字ね。中森明菜のニューアルバムなら黙ってても買ってくれる数が大体これくらいなんじゃないかなーと、私はにらんでいる。「フォークソング2」だけ1000枚多く売れたのはリリース時期に出た「SONGS」効果かな?
 とはいえ、すわ、これはレコードメーカーのゆゆしき失策である、とか、いやいや中森明菜が実働プロモーションを積極的に行わないそれが売上低迷の最大の問題なのだ、――とか、まあ、そういうことここでを言うつもりではないのですね、私は。
 まあ、こんなもんだと思うのですよ、25年以上のキャリアの歌手で、取り立ててトピックがない作品ってのはね。
 トピックがないと売れない?じゃ、そのトピックを作ればいいじゃない。てな流れで楽曲のタイアップを取ったり、芸能記事的な「話題」をふりまいたり、様々な媒体にお金を払って記事書いてもらったりっていう、まあ、そういうやり方もあるんだろうけれども――「カバーアルバム」っていう手段もそのひとつなのだろうと私は思っている。ひとまずスポーツ紙でとりあげてくれるからね――でも、中森明菜にはこういうやり方って合わないんじゃないかなーと、わたしはちょっと勝手に思っている。こういうことは政治力のあるプロダクションの主導ではじめて有効に動くものだと思うしね。
 とはいえ、ただ売れないじゃ先細りの末に次の作品が出せなくなっちゃうよぅ、と、これまたファンとしては困るわけで――という所で眠くなったので話は明日以降に続く。