これからの中森明菜に望むアルバム

 リアクションがよかったので、続けて明菜の話題。超個人的に「こんな中森明菜のアルバムが聞きたいなぁー―」という話。もちろん、中森明菜の気が込められた作品ならなんでもいいけれども、という前提で――。

・歌詞がドラマティックで、情熱的で陰でエスニックなアルバムが聞きたい。

 「ミ・アモーレ」とか「月華」とか「TANGO NOIR」とか「AL-MAUJ」とか「落花流水」とか、アレ系ね。
 ここ十年近くの中森明菜のアルバムを見ると、擬似洋楽で詞がわりと意味ナシ系で陽のアルバム(――「DIVA」「Destination」)と、切々としたバラードのアルバム(――「I hope so」「歌姫」シリーズ)は定期的にリリースしているけれども、エスニック色が強いアルバムはそういえば出していないなぁ、と思うのですよ。
 以前リリースした「true album akina 95 best」でレパートリーを《Wild》《World》《Whisper》の三つに大別したのになぞらえると《Wild》と《Whisper》は足りてるから、《World》成分、そろそろ欲しいぞ、と。02年のスパニッシュテイストの「Resononcia」は擬似洋楽成分もあってちょうど《Wild》の《World》の中間なつくりだったしね。
 それに明菜のエスニック路線って全盛期でも、わりとシングルのみで展開していて、アルバムだとそんなにそれのみでまとめたものって、ないんですよね。86年の「不思議」はエスニック成分強めだけれども、あれも実験アルバムだし。
 最近もシングルとかアルバムに1、2曲だけとか、挿し色的にあるだけなので、一度コンセプトをそこにしっかり定めてまとまって聞きたい。
 
 色んな事情があってカバーアルバムをださなければいけない場合は……。

・マニア以外誰も知らない――けど、中森明菜に似合う曲のカバーをして欲しい。

 選定基準は、アルバム曲か、シングルなら五万枚以下の売上。くらいの勢いで。つまり最近よくある半端に昔のヒット歌謡曲のカバーなんてダサいアルバムでないカバーアルバムにして欲しい。そうであれば、讃美歌でも抒情歌でも洋モノロックでもジャズでもニューミュージックでもアイドル歌謡でもテクノでもなんでもいいや。
 もちろん売れないだろうけれども、なに「フォークソング2」も「ムード歌謡」も明菜ファン以外あんまり買わなかったんだから、気にしない気にしない。
 一例をあげれば……クレヨン社「辻ヶ花浪漫」(――江戸時代の遊郭で愛唱された和歌をベースにしたジャパネスク感覚溢れた作品)ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1118987、鰐淵晴子「黒いらんたん」(――加藤和彦作曲。幕末の洋妾をテーマにしたアルバムの一曲)ttp://www.youtube.com/watch?v=jZbKRfg9p6U&feature=related とか。

 いや、そんな売れないカバーならいらないし、カバーで大ヒット目指すんだ、というなら……。

・アラフォー女子カラオケ御用達カバー

 明菜世代の女性がカラオケで「歌いたい」という、あるいは明菜世代の男性が「奥さんに歌って欲しい」という、つまり彼らが同時代的に味わったなつかしヒットをピックアップすればまず間違いなしかと。こんなもんカラオケメーカーにリサーチすれば手っ取り早いと思うけれども、「ザ・ベストテン」放送開始の78年からCDシングルの売上が頂点となった95年までの女性歌手のバラードヒットを中心にさぐれば――てか、明菜の個人的なカラオケ十八番ナンバーがそのままになるんじゃ、という。
 「オリビアを聞きながら」「あなたに会えてよかった」「瞳がほほえむから」「会いたい」「悲しみが止まらない」「赤いスイトピー」……、ほらね、こんな感じで。
 なんだかんだいって明菜の個人的カラオケ十八番ナンバーがぽつぽつはいってる歌姫・歌姫2が彼女のカバーアルバムの完成度の双璧になっているので、もしかしたらちゃんとしたアルバムになるやもしれない。
 あと中森明菜に《擬山口百恵》《擬中島みゆき》的な部分を求めているヒトは物凄く多いと思うので、

・全曲山口百恵中島みゆきカバー

 というのも訴求力あるだろうね。百恵ちゃんは言うに及ばず、みゆきも解脱しちゃったのかこの10年でかつてのような女の業が一気に薄れちゃって(――ゆえにセールスが低迷して)るので、かつての情念のドロドロとしたみゆき歌謡を明菜がリメークして喜ぶ人は多いと思う。もちろんこれら、作品内容的に成功するかどうかはわかりませんけどね。
 おもっくそ下世話で3流な企画だとは思うけれども、ここ最近のいろいろと気を使った挙句にわりと誰得になってるカバーアルバムよかいっそすがすがしいし、下世話も突きつめれば悪趣味という趣味になると思うので、やるなら是非恥じらいを捨てて、明菜の実働を含めたプロモーションもがっつりやって大ヒットを目指して欲しいな。と。
 ただ前のエントリにも書いたように、本人がバリバリ乗り気でないなら、こんな無駄に必死な企画はせんと地道に草の根的に望むべき自分の歌をうたって欲しいわけですけれどね。
 ま、こんな感じでグダグダ妄想しつつ、次の展開なにかなーって、待ってます。

 おまけ。
 去年の中森明菜のライブで歌った薬師丸ひろ子のカバー「Woman 〜Wの悲劇より〜」はどうですか?というお便りに回答。
 「Woman 〜Wの悲劇より〜」に関しては、原典厨の立場になっちゃいます。ごめん。
私的に「Woman 〜Wの悲劇より〜」は、薬師丸ひろ子の全作品で一番なのはもちろん、松本隆作詞の全作品の中でも、呉田軽穂名義のユーミン作曲の全作品の中でも、ナンバーワンの、まさしく奇跡のような神の領域の一曲で、誰が歌ってもオリジナルには届かないと思っちゃてるので。
 同じくオリジナルが死ぬほど好きなカルメンマキ&OZの「私は風」のカバーはアレンジがまったく変わっているおかげもあってか、別物として好きです――ので、原典に近いハードロックアレンジになったエンプレスバージョンの「私は風」は実はさほど好きくなかったりします。