ZARD 坂井泉水 死去

 全国に何万のファンがいるにもかかわらず、ひとり癌と闘い、夜明け前の病院で、自殺なんだか事故なのだかわからない形で人生の幕を引く。彼女はこれでよかったのかなぁと、ファンでもないのに、ずうずうしく思う。
 基本的に表現というものは、自己顕示欲の塊だとわたしは思う。「わたしはここだ」という世界への表明。
 しかし彼女の表現というのは、いつも無色透明で、あるかなきかのごとき。それを受け取るファンへ深く歩み寄ることすらしない。ただ世間の求めるZARD的な作品を淡々とドロップしていくだけの創作活動。
 彼女の音楽活動が、この孤独な最期とリンクしているように感じる分、切ない。
 彼女はもちっとハイタッチでよかったんじゃないんかね。
 ビーイング離脱後の大黒マキのようなぶっちゃけ系姐御キャラになる必要はないけれども、なんとかならんかったのか、と。
 イメージを破綻させることなく虚構でしかないZARDという存在を完結させた、その手腕は見事としかいえないけれども……。