佐藤隆 「青の時代」

青の時代

青の時代

 13.01.09発売。「石の枕」に続いて矢継ぎ早に発表。91年4月19日にVHSで発売されたライブビデオ「青の時代」のライブCD盤。これ、密かに待ってたっ。ライブビデオどっこにも見当たらなくって入手できなかったからさ。ビデオで収録を見合わせとなった「八月のメモワール」も入っとります。
 収録は90年12月26日、東京・池袋サンシャイン劇場。アレンジは重久義明。弦とピアノをベースにしたクラシカル・ヨーロピアンなサウンドメイクで、以前に発表した「アンプラグド・ライブ」の兄弟的作品と言っていいかな。こちらのほうが選曲がいわゆるベストセレクション的。代表曲がズラリと並んでおります。有名ドコロでは「マイ・クラシック」と「北京で朝食を」がないくらいかな。
 「石の枕」を完成させてから、ふっとこのアルバムの制作を思いついたそうで、やっぱり、ビートリーな佐藤隆もいいけれどもヨーロピアンな佐藤隆もいいよね、と、そういうことなのだろう。この行ったり来たりのバランスが彼の曲作りのベースなんだろうな。
 この異国情緒路線に関しては、ぶっちゃけ彼の独壇場と言っていいわけで、女性では久保田早紀、男性では佐藤隆、80年代のSSWでこの両者にかなう人いないんじゃなかろうか、っていうね。歌謡曲であるという前提を失うことなくそれでいて本格的に行くとなればどこまでもズブズブとのめり込むことができるのが、この二人の強みなのです。
 このライブ盤は、スタジオ録音盤よりも音はシンプルでありながらも、その世界はより深くより濃い。音の本質、核の部分にぐいぐいと迫っている。クラシックやジャズの名盤にも近い、時代を超えたエバーグリーンな一枚といってもいい。「アンプラグド・ライブ」にグッと来たなら、是非モノ。佐藤隆の事よくく知らないなという人への入門編としてもいいんじゃないかな。オススメ。